MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

『ナポレオンズへの道』


誰でも簡単にできるマジックを教える、となれば
我々の得意技である。
あまり練習しなくても
ちゃんと不思議なマジックを教えちゃいましょう、
ということで発売に至りましたマジック・セット、
題して『ナポレオンズへの道』、
こりゃかなり楽な道だったりして。

世はまさにマジック・ブーム、
テレビ番組に多くのマジシャンが登場して
あれこれ不思議な現象を観せている。
また、本屋さんに行けば
これまた数多くのマジック本が並んでいる。
ある店ではなんとマジック・コーナーまで設けてあり、
色々なマジシャンたちの本が
平積みになっているではないか。
こんな現象は今まで目にしたことがない。
こんな状況にいちばん驚いているのは誰あろう、
マジシャン自身ではなかろうか。
そんなブームが顕著になる少し前、
童友社(TEL03−3803−4747)という玩具メーカーから、
「ナポレオンズさんの
 マジック・グッズを販売したいのです」
というありがたいお話をいただいたのだ。
そういえば以前、なんと100円ショップで
マジック・グッズが売られたことがあった。
けっこう不思議な現象を見せることが出来るマジックが、
なんと100円で買えてしまう。
それを知った日本奇術協会前会長である
松旭斎すみえ先生が、
「100円はいくらなんでも安過ぎる。
 せめて200円にならないかしら」
と仰ったくらい、衝撃的な安さだった。
そんな状況の中、ナポレオンズの名を冠した
マジック・グッズを発売しようという企画の登場である。
我々の関心事はそのマジック・グッズの値段設定であった。
「ここはひとつ300円というのが適切かと思うのですが」
う〜む、これは確かに適切な値段に違いない。
なにしろ300円ならば
日本奇術協会前会長、松旭斎すみえ先生にも
充分にご納得いただける値段ではないか。
そうなると、まずはどのようなネタにするかの選択である。
あれこれ試行錯誤の上、
『マジックボール・パズル』『抜けない頑固なリング』
『不思議な空中に浮かぶビン』『マジック・コインケース』
『カップのボール当て』『ワープコイン』
という6種類に決定した。
それらを『ナポレオンズへの道』として
発売することになったのである。
これが、我々の予想をはるかに上回る売り上げを
記録したのである。
あるファースト・フーズ店が
一括して購入してくれたことも相まって、
なんと10万個以上を売り上げてしまった。
私自身がオモチャ屋さんの店頭、本屋さんの入り口付近、
雑貨屋さんのレジ近く、
本当にあちこちで目にすることが多かった。
自分でもつい買ってしまい、
店員さんに怪訝そうな顔をされたりもした。
さてこうなると『ナポレオンズへの道』パート2を
発売せねばならない、ということで
実は現在すでに好評発売中なのである。
今回のネタも吟味を重ねた上の
『異次元引き出し』『透視ボックス』
『リング・エスケープ』『消えるコイン』
『マジック・コースター』『コインの瞬間移動』
という6種類、いやはやかなりの自信作であります。

「おいおい、また自分たちの商品の宣伝かいっ」
とお叱りを受けるかもしれない文章になってしまい、
本当に申し訳ありません。
しかしながら、
おそらく30年に一度くらいのブームなのであります。
ひょっとすると、
もう決して現れない現象かもしれないのです。
ブームの端っこでもいい、
やはり乗らなきゃソンソンの心境なのであります。
マジック・ブームは、多くの恩恵を
マジシャンたちにもたらしてくれたに違いない。
だが、消えてしまうのもまたブームというもの。
ブームが去った後に残るのは、はてさていったい?

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2005-05-01-SUN

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