MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

マジシャンの日常を赤裸々に綴った
『週刊日記』であります。
なんのために、誰のためにマジシャンの存在はあるのか?
その答えはこの日記の中にあります、あははは。


『ナポの週刊日記』


月曜日
お笑い番組の収録のため、大阪に向かったよ。
新幹線12のA席に座ると、
12のD席にメガネの女性が乗り込んできた。
「はて、どこかで見たような女性だが、誰だっけなぁ。
 それとも、誰かに似ているだけかなぁ」
疑問は解けぬまま新幹線は京都を過ぎたよ。
すると、D席の女性がバッグから鏡を取り出し、
掛けていたメガネを外した。
それからヌリヌリパタパタと化粧を始めたではないか。
あの、誰でも知っている大物女優さんが突然、
12のD席に出現したのだった。
夏の日のイリュージョンだったよ。

火曜日
休み。
マジシャンの休日なんだけど、
別にしなければならないこともない。
こういう日はマジックランド
(茅場町にあるマジック・ショップで、
 プロ・マジシャンもアマチュアも集うところ。
 来ているのは互いに見知ったマジシャンばかりで、
 遠慮なく来ていないマジシャンの悪口を言える。
 一般の人には分からないマジック用語が飛び交い、
 互いの得意ネタを自慢し合うこともできる。
 まさにマジシャンのオアシス)
に行くに限るよ。
あまりに目立たない分かりづらいビルの3階、
ドアを開けると、いきなり英語が飛び交っている。
そうだ、ここは外国のマジシャンも訪れる
インターナショナルなショップなのだ。
「ハロー、ハゥアーユー?
 アイム ファイン、ハッハッハ」
なんとか笑ってゴマかしたよ。

水曜日
某局に番組収録に行ったよ。
スタジオにはもういっぱいの観客がいたよ。
水曜日、平日の午後である。
この時間にスタジオに来られる人々といえば、
やはり仕事を退職された方々が多い。
日本の高齢化社会を実感させられるスタジオ風景だ。
よく見ると、以前にもスタジオで会った
お客さんがいるではないか。
いやはや、かなりの人たちが
このスタジオで会ったことがあるような。
話を聞いてみると、
「朝の情報番組のスタジオにも参加して、
 ここで昼を食べる。
 午後と夕方のスタジオにも参加して、
 やっと家に帰るんですよ」
まるでこの局に通勤しているようにおっしゃる。
知らなかったなぁ、そんな生活。
でも、皆さん楽しそうで良かったよ。

木曜日
朝6時の新幹線で名古屋に行ったよ。
朝6時、当然始発だったよ。
半分眠りながら名古屋に到着、
そこから私鉄に乗り換えて現地到着したよ。
朝9時には控え室に入っている。
愛知は近くなりにけり。
さて、ここは競艇場である。
我々のマジック・ショーは
午前10時から特設ステージで行われる。
午前10時からのショーに来る人なんているの?
心配無用、どこからか信じられないくらいの人々で
溢れかえっているではないか。
熱気ムンムンですらある。
ここで以前、
「ボート・ピープルの皆さん、こんにちわ〜」
競艇場ならではのギャグ、と自信を持って叫んだのだが、
主催者からこってり叱られた。
直前に思い出して良かったよ。

金曜日
事務所で打ち合わせ。
またまたDVDを出そうということになったよ。
最近とっても大評判の、
あの天才マジシャンにも出演してもらいましょう、
ということで意見が一致したよ。
出演してもらうというか、この際はおんぶにだっこ、
全面的に頼り切ってしまいませう、
という素晴らしい結論に達したのだ。
人のふんどしで相撲はとらないけど、
人のトランプでマジックはするのだ。

土曜日
講演の仕事に行ったよ。
ん? ナポレオンズって講演なんてするの?
なんて声が聞こえてきそうだよ。
ところがどっこい、1時間とか1時間半とか、
しっかりとお話中心の講演をやりますよ。
テーマは時によって違うけど、
『不思議で脳ミソを元気にしましょう!』てなことが多い。
つまり、不思議なものを見て驚くと
脳がリフレッシュしますよ、ということだよ。
講演となると、おいらの出番が多くなって大変だよ。
これでギャラはおんなじ〜、おめでとうございますぅ〜。

日曜日
日曜の休みは珍しい。
こんな日こそ、かねてからマスターしたかった
あのマジックの練習をしましょう。
で始めたはいいが、
けっこう難しくてちっとも上手くいかない。
練習すればするほど、失敗ばかりだ。
教訓、ヘタに練習などすると
それでなくてもありゃしない自信が揺らぐ。
マジックはぶっつけに限ります。
失敗したら謝りましょう。

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2004-07-25-SUN

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