ライフ・イズ・マジック 種ありの人生と、種なしの人生と。

「トランプのマークには、 　ちゃんとそれぞれ意味があるんですよ、小石さん」 後輩に言われるまで、 そんなことちっとも知らなかった。 皆さん、知ってました？　 さて今回、そんなトランプの 「４つの物語」 （ダイヤ　お金を意味する） 親戚のＡから電話があった。 ずいぶんと連絡を取り合っていなかったので、 少々驚くと同時に嫌な予感もした。 すると案の上、 「家の娘が今度、幼稚園を卒園するんですよ。 　で、その卒園パーティの幹事に 　選ばれてしまったんですよ」 早い話が、そのパーティに出て マジックをやってちょうだいということだ。 相棒の子供の入学、卒業などのパーティにも 呼ばれたものだ。 なんといっても子供を人質に捕られているようなもので、 こういった依頼は断るなんてことは絶対にできない。 しかもどのような条件もハイハイと呑まなければ、 子供の将来が危ういというもの。 出演料、ギャラについてだが、 もちろん言い値に従うのみである。 これがかなりヒサンな金額 （普通の人にはマジシャンの値段など 　想像の範囲外というのは無理からぬこと） であるが、ありがたくいただきます。 さて今回の卒園パーティ、 Ａはかなり自信がありそうであった。 「もちろんナポレオンズにお願いするからには、 　ちゃんとギャラをお支払いするつもりです。 　皆さんにも了解していただいてます」 さぁパーティ当日、 マジックでたっぷりと盛りあげることができた。 帰りぎわ、Ａがウン十万分は入っていそうな 分厚い封筒を手渡してくれた。 車の中で封を開けると、 ウン十枚のビール券が入っていた・・・。 （クラブ　労働を意味する） 近所のクリーニング屋さん、 老夫婦ふたりだけの小さな店です。 日曜、盆、正月以外はずぅっと働いているふたりの姿が、 窓ガラスの向こうに見えます。 私が領収証を頼むと、親父さんが日付けを 『平成14年』と間違えてしまいました。 すると奥さんがすかさず、 「やだねぇ、この人。 もうそろそろボケてきてるのかねぇ」 と『平成13年』と書き直し、 そうしてまたセッセと働き始めるのでした。 夫唱婦随。 （ハート　愛情を意味する） 「君の選んだトランプは、ハートの・・・、３でしょ」 「そう！　えぇ〜？　すご〜い！　」 マジシャンは感動に震えていた。 （オレが好きになった女の子には、 　やっぱりマジックを見てもらって驚いてほしい。 　なのに、これまでの女たちときたら・・・。 　Ａ子、とっても可愛い女の子だったのに、 　オレのマジックを見て、 　『ねぇ、さっきトランプをチラッて見たでしょ』 　なんて。 　あれにはガッカリしたもんなぁ。 　去年知りあったＢ子、あれはショックだった。 　なんせ美しい顔をツンととんがらせて、 　『バレバレよ、ヘタな手品師さん』 　しばらく立ち直れなかった。 　でも、良かった。 　ちゃんとオレのマジックに驚いてくれる 　女性が見つかった！ 　オレはこの娘を一生愛するぞ！） 　 （今日はなんだか目が充血してたから、 　コンタクトをしてこなかった。だから、 　なんにも見えなかったんだけど） （スペード　勇気を意味する） マジックの道具を制作している会社から ダイレクト・メールが来た。 「新商品、ウケること間違いなし！ 　題して『パンドラの箱』、 　有名なギリシャ神話をモチーフにしたマジックの決定版。 　なんと空の箱からパンとドラ焼きが出てきて、 　これがホントの『パン・ドラの箱』（笑） 　アメリカで評判のネタ！」 アメリカで評判って、勇気あり過ぎ。

2003-04-18-FRI

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