ライフ・イズ・マジック 種ありの人生と、種なしの人生と。

「オレの人生の大半は、 　あっちこっちの市民会館と新幹線車内で過ぎてゆく」 ある芸人さんのつぶやきです。 そういえば私の食生活も楽屋で弁当 （だからシャケとえびフライは、 　もう普通の人の一生分食べてしまったかも） というパターンだし。 人生というものを深く考察しつつお送りする今回、 「ナポの週間日記・ＰＡＲＴ３」 月曜日 福島に行ったよ。 市民会館での寄席公演で、 大勢の先輩芸人の皆さんと一緒の出演だったよ。 我々の世界も高齢化の波がザブンザブンと押し寄せている。 今日もなにしろ楽屋に入っていくと、 立っている人や座っている先輩が少なかった。 ほとんどの先輩が横たわっていらっしゃる。 ちょっと前だと、楽屋の話題なんていうのは、 「あそこのママがちょいと色っぽいんだよ」 とか、 「こないだ、れーきーな、ちゃんねーとさ 　（きれいな、おねーちゃんと）・・・」 というようなお話が多かったのに、最近では、 「あそこの病院が、ちょいと多く薬をくれるんだよ」 なんて話題ばかりになってしまったよ。 鏡台の前に並んでいるのは化粧道具ではなくて、 薬ばかりだったりして。 今日は寄席演芸会だからいいけど、 ある区主催の敬老会、 「どうか皆さん、元気で長生きしてくださいよ」 なんて言ってる芸人さんの方が年上でないの？ 火曜日 函館に行ったよ。 機内放送の演芸チャンネルを聴いて、 イヒヒゲラゲラと笑ってしまったよ。 春風亭柳昇師匠が出演、 「人間の古いのはありがたくないが、 　古くて珍重されるのはワイン。 　だから私もこれから自分のことを、 　1920年ものと呼ぶことにします」 おいらは、何年もの？　 水曜日 以前指揮者カラヤンの写真を見て、 衣装が気に入ってしまったよ。 さっそく似せたデザインのスーツを注文しておいた。 出来上がった衣装を着てウットリとしていると、 マネージャーが、 「小石さん、なんだかグループ・サウンズみたい」 木曜日 久しぶりに我が古里の岐阜の仕事が入ったよ。 ちょうどいいや、仕事が終わって実家に寄ってみた。 前回帰郷した時、 親父にルイ・ヴィトンのバッグをプレゼントした。 というのは、親父はどこへ行くにも きったな〜いバッグをしょって出かけていた。 だから初めての親孝行、 フンパツして高級一流ブランドのバッグを 買ってあげたのだ。 さて、あのルイ・ヴィトンは愛用されている？ すると、親父の腰のあたりで ひときわ輝いているルイ・ヴィトン！ 良かった、愛用しているようだ。 うん？　なんだあれは？　 な、な、なんとバッグの全面に 住所、氏名、電話番号がサインペンで黒々と！ 「時々、置き忘れるでな。 　お前に初めて貰った大事なもんじゃで、 　これなら気付いた人が持ってきてくんさるでなぁ」 親父よ、あんたの使い方は正しい！ ファッションでも見栄でもない、 まさに大切に「愛用」してくれているのだ。 さぞかしルイ・ヴィトンの創業者も 草場の陰で喜んでいることだろう（？） 金曜日 休み。 久しぶりに事務所でたまっている雑用を 片付けることにした。 事務所のパソコンに、 またまた弟子入り志願メールが入っていた。 う〜ん、メールで志願されてもなぁ。 文面は色々と我々のことを ホメ称えてくれたりしてるけど、なんだかなぁ。 「メールありがとう。 　今のところ、弟子は採っていません」 ちょっと前に来た弟子志願メールは、 とても良い印象だったよ。 だから実際に会ってみることにした。 事務所近くのレストランで、 彼とその母親と食事をしつつ話してみた。 食事が終わりコーヒーの頃、母親が、 「色々とありがとうございます。 　やはり息子には時期尚早だと思います。 　また後日、ご連絡いたします」 慌ただしく席を立って帰ってしまった。 それ以来何の連絡もない。 マネージャーいわく、 「それって新手の食い逃げですよ、きっと」 「・・・」 土曜日 「富士山と一緒」のロケ日。 晴れてて富士山がきれいだ。 今回は、とある温泉に行ったよ。 山スソにひっそりと佇む小さな温泉宿。 ここの効能は皮膚病とのことだ。 「色々な皮膚病に効くんじゃが、 　特にイボがとれてしまうよ。 　ずいぶん昔のことじゃが、 　近所の子供がいたずらをしてのう、 　イボガエルを温泉に入れたんじゃ。 　すると、たちまちトノサマガエルになって出てきおった、 　アッハッハ」 放送できないよねぇ、ディレクター？　 日曜日 静岡でＦＭラジオへの出演があったよ。 ラジオということで普段着のままでスタジオへ。 寝ぐせがついたままの髪だったけど、まぁラジオだし。 オープン・スタジオ、 通称「金魚鉢」といわれている、 外からみんなが見ているスタジオだった・・・。

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2003-02-05-WED

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