MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

怖い話。

え〜、このところ怖いニュースばかり、
続いておりますなぁ。
う〜ん、年中お気楽に暮しているような
アタシんところにも、
実に冷や汗タラ〜リのお噺ってぇもんがありまして、
そんなお噺をふたつ、みつ。

ギロチンという大ネタがあります。
大きめの扉のようなサイズで、
下方に大小の穴が開いています。
上の穴に人の頭を入れ、
下には大根を入れてドラム・ロール、 
上から大きな刃が落ちてくる! 
下の大根は真っぷたつ、ところが人はカスリ傷ひとつない。
なんでなんで? えぇ〜? 
このネタ、意外と簡単な仕掛けです。
「なぁ〜んだぁ、これなの? 」
くらいのトリック
なので、知らない方がしあわせでしょう。
さて、問題はその仕掛けのシンプルさにあります。
なんせ、その仕掛けをうっかり忘れて
刃を降ろそうものなら・・・。
もう想像するだに恐ろしい結果が。
まさか首が切り落とされるまではいかなくとも、
激しい衝撃を受けてしまえば・・・。
あ〜、怖いこわい、怖すぎる。
参加する客も、これをやってるマジシャンも。

ラスベガスで
「ザ・ジャパン・ショー」という
公演をやったことがあります。
日本の伝統芸である水芸、チャンバラ・ショー、
それに我々ナポレオンズの
コメディ・マジックで構成されたステージでありました。
我々には初めての本格的な海外公演で、
そりゃもうがんばったもんです。
さて、がんばったのは我々だけでは無論なく、
舞台作りの裏方さんたちでした。
24時間働きに働いて立派な舞台が出来上がり、
お陰で観客の反応は上々でありました。
一週間がアッという間に過ぎ、
舞台監督のMさんにもちょっと余裕が出来てきました。
舞台がハネた後はホテルのバーで飲み、
すっかり気分を良くして
さぁスロット・マシーンで遊んじゃおう。
幸福で平和な一夜でありました。

事件はMさんがスロット・マシーンでジャック・ポット、
大当たりを取った
(と本人は激しく主張したが、今だに真相は定かでない)
直後に起きたのです。
「おい、どうなってるんだ!
 ジャック・ポットだぞ。
 なんでコインが出てこないんだ! 」
Mさんはすっかり、パチンコ屋で
「お〜い、玉が出ねぇぞ、お〜い。」
などと叫んでるおじさん状態だったのです。
この後の展開はパチンコとはかなり違い、
屈強なガードマンたちが数人、
騒ぎを聞いて駆けつけてきました。
Mさんはなおも日本語で叫んでいます。
Mさんの声で駆けつけた僕の目に入ったのは、
ガードマンたちの手に握られたピストル、
銃口はMさんに向けられている!
「僕の友人です。連れて帰るから問題ないよ。」
必死の英語が通じて無事だったが、
撃たれても仕方なかった状況。
怖かった、後からもっと怖くなった。

幕張の高層ビルの取材をした。
まだ完成前で、外壁に付けられた
工事用のエレベーターの怖いこと! 
しかも足下が網状になっていて、下が見える。
目線を遠くに向けてブツブツ独りごとを言いつつ、
やっと40階に到着した。
たった数分だったけど、
30分くらいに思えた時間が過ぎると、
まだコンクリートだけのガラ〜ンと広いフロアーに着いた。
ホッとした僕は真っ先にエレベーターを降りて
広々とした窓際に向かい、絶景をまのあたりにした。
すると後ろから声が、
「まだガラス入ってないから、
 あんまり近づかないでね。」
ヘナヘナと座りこんだ。
こ、こ、こわ〜、う、う、うごけん。

アフリカの、とある砂漠でロケをしたことがある。
見渡す限りなにもない、本物の砂漠。
でも不思議なことに、
車が砂に足をとられて立ちおうじょうしていると、
どこからともなく人が現れて助けてくれる。
もちろん、その好意は
貴重な臨時収入となるという側面もあるのだが。
ある夜、車を止めてロケをしていると、
またどこからか人が集まってきた。
しかし、いつもと雰囲気が違う。
現地の通訳の声がふるえている。
事情を聞くとも〜大変、
我々のロケ車はいつの間にか国境を侵犯しているという。
つまり集まってきた人々の正体は軍隊で、
その証拠に彼らが手にしているのは機関銃! 
その内の一挺が僕の胸に! 
でも機関銃なんて見たことがない僕は珍しさのあまり、
「これって本物? 」
て聞いていた。しかも銃身を掴んで。

結論、一番恐いのは自分のバカさかげんかも。
ご静聴、ありがと〜うございました。

2001-09-23-SUN
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