MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

「マジシャン、テレビする。」

海外で放送されたマジック番組を紹介する番組に出演した。
ほとんどのマジシャンが見たことがあったり、
実際に会ってたり。マジックも大体知っているものだった。

でも、びっくりしたのがひとつ。
ステージ上で箱に入れられたはずの美女が、
一瞬のうちに客席に現れた! 
こう書くと、ネタはすごく簡単に思ってしまう。
「はは〜ん、双子を使ったんだなぁ。」
ところが、マジシャンは堂々と宣言する。
「皆さん、このマジックにカメラ・トリック、
 また双子は絶対に使っていません! 」

どうなってるんだ? 
双子を使ってなければ、一体トリックは何なんだ?

仕方ない、
いつものように相棒
「誰も彼を騙せない」を参照)
に聞いた。
「なぁ、これって双子以外には有り得ないよなぁ。
 でも双子じゃないって言い切ってるしなぁ。」
「いや、実は双子じゃなくて三つ子を使ってるらしい。」
「・・・。」

「どうぶつ奇想天外! 」に出演した。
動物とマジックをする、
あるいはマジックを見せるという企画が時々ある。
過去にはアフリカのモロッコまで行って、
「ラクダを使ったマジックをやりましょう。
 ラクダの首に剣を刺すマジックなんか面白いですねぇ。」

などと言われてその気になりはしたが、
これが大変。
なんせラクダが意外に獰猛で、激しく抵抗する。
ラクダには、剣を刺したのにキズひとつない、
なんていう結末があるから安心だよ、
なんて分かってくれないもんなぁ。
広〜い砂漠を、どこまでも逃げていくラクダを見つつ、
何故かホッとしていたなぁ。

その失敗を教訓として、
今回は日本ザルにマジックを見せることになった。
(つまり、教訓も反省も我らの辞書にないらしい)
はたして、サルたちは我々のマジックに驚いてくれるか?
はたまたタネを見破るのか?というのがテーマ。
結論からいうと、サルさんたちは驚きまくった。
驚き逃げ惑い、キッキと騒いだのなんのって。
でも、残念なことにこの驚きは
マジックの不思議さにビックリ、ではなかった・・・。
実は、マジックの最後に
でっかい猿の着ぐるみを着て現れた僕の姿に、
彼らはパニックになっただけだった。

先日テレビで、どこかの学校にサルが入ってきて
生徒たちの弁当を食い荒らして大変だぁ、
みたいなニュースがあった。
先生たちが金網で窓を塞いだりしてたけど、
先生たちがサルの着ぐるみでいれば、
サルは絶対に姿を見せないはず。
良いアイデアじゃない? 
もっとも、先生の威厳が保たれるかどうかは
保障できないけど。

マジックのタネを見破れるか? 
という、もうひとつの実験の結果は、意外や意外、
ちゃんとタネを発見されてしまった。
僕が椅子に座り、皿に盛られたみかんを膝に乗せている。
そのミカンが全て消えてしまうというマジック
(ミカンに布をかける時に、
 ひそかに椅子の下に隠してしまう)
を見せたのだが、たちまち駆け寄ってきて
椅子の下を覗き込み、ミカンを手にしてムシャムシャ。
その迷いのないこと!
何故、分かってしまうのか? 
これまたタネを見破ってしまう訳ではなく、
ただ単に匂いでミカンを探し出してしまったのだ。
う〜む、少しは悩んで欲しかった。
マジックの観客は、やはり人間に限るようで。

ワイドショーに天功さんが出ていた。
ずいぶん以前から、
「私は永久に24才です。」
と仰しゃる天功さんのお姿を拝見しつつ、
大変に失礼なことを想像してしまいました。
遠い遠い将来、こんなニュースが流れる。
「引田天功さん老衰のため死去、享年24才。」
本当にごめんなさい、天功さん。

2001-07-17-TUE
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