MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

「たかが芸名? されど芸名? 」

「ナポレオンズと命名したのは、
 あのフランスの英雄、ナポレオンから。
 また、『予の辞書に不可能の文字はなし』の格言も
 マジックに相応しいことこの上なしだったので。」
などとインタビューに答えています。
が、実際の命名の過程はまるで違っています。
すいません。

本当は、僕と植木でチーム名を
相談していたスナックの棚に並んだ高級洋酒の中に、
燦然と輝いていたボトルこそ、ナポレオンだったのです。
一も二もなく「ナポレオンズ」に決定しました。
現在の状況とはまるで違って、
高級洋酒は手の届かないもの、極上品でした。
その意味でも、「ナポレオンズ」は
分不相応な名ではありました。

英雄ナポレオンの正式名称はナポレオン・ボナパルト。
これを僕と植木で分けて、植木が「ボナ植木」、
僕が「パルト小石」としました。
実にどうもいい加減な命名でありました。
もちろん、二人とも100%日本人です。
それが「ボナさん」「パルトさん」。
なんとも妙なものです。

あるホテルに宿泊したところ、
新聞は英字新聞、
フロントからの電話は英語で掛かって来る。
ホテルを予約してくれたスタッフが
芸名で予約を取ったためでした。
二日ほど外国人ごっこが続いたが、
「あのぅ、日本語でいいですか? 」
「そうですね。」
でやっと終了しました。

マジシャンの芸名には、
カタカナ&名前というパターンが多いのです。
ナポレオンズの所属する日本奇術協会の名簿を見てみると、
「ケン正木」「ダーク広和」「マギー司郎」「マメ山田」
「ジャック武田」「ジョニー黒沼」「シルキー渚」
「ゼンジー世村」「ドリームかずよし」等々、
怪しげな名前がズラリ(失礼)。
中には「マジック中島」という、
そのまんま、実に横着な(失礼その2)の芸名も。

協会には入っていないMr.マリックさんも
もちろん芸名でありまして、
以前伺ったところによれば、
「マジックとトリックの融合だよ。
 で、マリック。」
とのこと。実にシンプルで
なお且つちょっぴり胡散臭い(失礼その3)
素晴らしい芸名ではありませんか。
すっと以前、
マリックさんは「マリック手品教室」を
主宰されていました。
我々ナポレオンズも、数回ですがレッスンを受けました。
手品教室の先生だった松尾(マリックさんの本名)さんが、
数年後に「Mr.マリック」として
華々しくテレビに登場するとは。
人生、分からないものですよね。
余談ながら、僕のアルバムの中の1枚に、
3ショットの写真があります。
ハワイで撮ったもので、
僕の左右に2人の男性が写っています。
右がMr.マリックさん、左はトランプマンさん、
いつ見ても笑える貴重な写真です。

日本奇術協会の会長は、北見マキ先生です。
「マジックのマと奇術のキで、マキにしたんです。」
とのこと。北見先生の芸名は、
かつては「北海(きたみ)マキ」でした。
ところが仕事先で間違って
「ホッカイ・マキ」さんと紹介されることが多く、
先生は間違えようの無いように
「北見マキ」と改称されたのでした。
やれやれ、
これで「ホッカイ・マキ、マジック・ショー! 」
などと間違って紹介されることもあるまいと
すっかり安心されたのでした。
ところがある日再びの悪夢、
ステージ上で司会者の高らかな声が
聞こえて来るではありませんか。
「さぁ、それではご紹介いたします。
 ホッカイ・マキ、マジック・ショー! 」
おかしいなぁ、一体どういうことだ。
ちゃんと事前にファックスで、
「北海改め北見マキとしました。」
と送っておいたのに。
ショーの終了後、
北見先生は司会者を問い詰めたのでした。すると
司会者は、
「はい、だからちゃんと間違いなくメモして来ましたよ、
 ほら。」
司会者のメモを見ると、
< 北貝(ホッカイ)マキ >と書いてあった・・・。
「見る」と「貝」では大違い。

皆さん、
「カメレオンズ」「ナポリタンズ」などと
間違えないように!


ナポレオンズ

2001-06-25-MON
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