MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

第18回
「正しいマジシャンの選び方」


マジシャンを選ぶことなんて、
一生に一度だって無いかもしれない。
だからマジシャンを選ぶコツ、
正しいマジシャンの選び方なんて 必要ないことでしょう。

でも年末年始が過ぎた今ごろになって、
あちこちで、
「忘年会(新年会)でさぁ、幹事役が廻って来てさ、
 インターネットで調べたりしてマジシャンを
 頼んだんだよ。
 なんとか大会の世界チャンピオンだとか
 書いてあったから、すっかり信用してさ。
 そしたらとんでもないのが来てさぁ、まいったよ。
 こういう場合、お宅の協会(社・日本奇術協会)で
 責任取ってくんないかねぇ、ダメ? 」
などという嘆きを、数人の知人から聞いてしまったのです。
ゆゆしき事態であります。こういう場合、
「マジシャンの○○はダメ。」
と、あくまで個人の評価になるのなら
仕方のないことです。しかし悲しいかな、
「マジックははダメ、つまんないよ。」
などという評価が申し送りされる可能性大なのです。
そこで、全優良マジシャン(自称)を代表して
申し上げます。

「正しいマジシャンの選び方」

まず始めに、過度の期待は持たないことです。
「マジシャンが来るぞ、さぁこれでもう大丈夫! 」
なんてのは、即失望に繋がる怖れ大です、
残念ながら。
マジシャン自らの告白ゆえに、
どうか心に留め置き願いたいものです。

「マジシャンを呼んどいたから、
 なんか不思議なことでもやってくれんじゃないの。」
くらいが、お互いの幸せってもんです。

ずっと以前のこと、
とあるパーティに呼んでいただきました。
幹事さんは満面の笑みを浮かべ、
「お〜い、
 マジシャン
 (ナポレオンズというチーム名があるんですけど)、
 さっそくだけど、この部屋でしばらく遊んでやってね、
 よろしく! 」
部屋には、ハイハイを始めたばかりのような
幼児が30人ほど・・・。ホント、声も出ない。
まぁ、手品=子供というイメージの
根強さを実感いたしました。
そこそこの年齢、小学3年生くらいの子供なら、
とてもマジックを楽しんでくれるのですが、
ハイハイはいけません。
そこんとこひとつ、適材適所ってことで。

最近我が事務所、テレビランドにもインターネットによる
問い合わせが増えてきました。
特に学園祭シーズンは多かったようです。
簡単にアクセス出来て、手軽ではあります。
その「簡単・手軽」の分、まるでひやかしのような
問い合わせも増えましたが。
さて、このインターネットでマジシャンを捜すのは
大変に便利なのですが、ここで問題になるのは、
それぞれのマジシャンのプロフィールです。
実に様々なことが書いてあります。
「世界マジック・コンテスト優勝。
 アメリカマジック・ソサエティー会員。
 ロサンゼルス・マジック・アカデミー金賞。」
などなど。
「おいおい、すごいマジシャンだよ。訳分かんないけど、
 とにかくすごそうだよ。
 よっしゃこのマジシャンにしよう。」
やはり、選択の指針となるのは
プロフィールだけかもしれません。
これがひょっとすると間違いかも知れない、
なんて疑う人はごく少数でしょう。
ところが、中には(?)を禁じえないものもあるから
大変です。
まぁ考えてみれば、これらの経歴が全て事実、
本物だとしたら日本はマジックのチャンピオンだらけ
ということになってしまうのです。
サッチー騒動なんてありましたね。
マジック界では「経歴詐称」とまではいかなくても、
かなり眉ツバもののプロフィールなるものが
横行しているのも、哀しい事実なのです。
チャンピオンだの優勝だのが、拡大解釈の
なれの果てで事実に準じていたとしても、
マジシャンを選ぶ物差しにはならないかもしれません。
表彰状やトロフィーを見て楽しむ訳ではないのですから。

やれやれ、なんだかマジシャンを選ぶ作業の
困難さばかり書き連ねてしまいました。
まるでやはりマジシャンを呼ばないのが
一番の選択であるかのようになってしまいした。

しかし、ちょっとお待ちあれ。
例えばパーティ会場がホテルであったなら、
宴会サービス係の人に紹介してもらうという手があります。
職業柄、宴会係の人は色々なパフォーマーを見ています。
見る目も肥えているはずです。

とにかく、一度くらいはマジックを生で見る機会を
作っていただくよう、切にお願いいたします。

ある番組で、
「マジシャンは嘘つきのプロだ! 」
などど罵倒されたことがありました。
マジシャンの名誉のためにも、
プロフィールは正しく書きましょう!

さて、前回の答は、ひらがなの「ち」でした。
バレバレでごめんと謝りつつまた次回!

2001-01-31-WED

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