
2009.11.25
革とのつきあい方は、ごくシンプル。愛情をもってどんどん使う。(5/5)
[ 籠浦 ]
うーん、そんなに手の跡がくっきりっていうのは
あんまりないような気がするんだよなぁ。
だから、ごく自然に、愛着を持って使ってください、
ということじゃないかと、ぼくなんかは思うんですけど。
[ 北川 ]
心をこめて使ってください、と。
そうすると、自分の色に染まりますよって。
革っていうのはそこがいいような気がします。
そうでなきゃ、革じゃなくてもいいんです。
[ 細井 ]
そうですよねぇ、革なんですからね。
[ 北川 ]
それが革なんだよ、って、
ぼくは、そこに戻らない限りは、と思いますよ。

[ 糸井 ]
みなさんのお話をお聞きして思うのは、
なんだろうな、自分なんですね。
つまり、自分に対してのケアをしすぎて、
苦しくなっちゃったりすることもあって。
それを追求するよりは、何が基本だったの、
みたいなことを考えたほうがいいんじゃないか、と。
まあ、人はそれぞれなんですが、
革を選ぶなら、一緒になって育っていく、
と思ったほうが、たのしいかもしれないですね。
でも毎日使っていたら、進み方がどうってことじゃなく、
かならず、いい感じになりますよね。
[ 籠浦 ]
ええ。日々使うものだから、
変化に気づかずに使ってるわけですね。
で、あるとき、ふと気がついて‥‥
[ 糸井 ]
なるほど。
[ 籠浦 ]
というのが、ぼくは「経年変化」だと思うんですよ。
目標があって、そこに力づくで持っていこうというのは、
育てているというのとは、ちょっと違うんじゃないかって。
[ 細井 ]
そうですね。
[ 北川 ]
そうなんだよな。
[ 糸井 ]
それは、鉄腕アトムと天馬博士ですね。
いや、知っている人はほとんどいないと思いますけど(笑)、
「なぜ大きくならんのだ!」って、
身長を測っては、こう、
アトムの頭をガンガン叩いてたんですよ。
[ 一同 ]
(笑)
[ 糸井 ]
アトムがかわいそうと思いましたもん。
[ 北川 ]
毎日見てると、どう変わったかっていうのは、
わからないんですよね。
[ 糸井 ]
写真を撮っておくと、いいかもしれませんね。
[ 北川 ]
買ったときに、ということですか。
[ 糸井 ]
ええ。
そうしたら、ずいぶん違うのがわかると思いますよ。
犬を飼ってるとね、
子犬だったときと成犬になったときでは、
あたりまえですけど、はっきり違うんですよね。
だけど、成犬になってからは
変わってないと思ってるんです、みんなね。
毎日見ていたら、気づかない。
でも実は、成犬になってからも変わっていて、
それは、昔の写真をみるとわかるんですよ。
若い顔してますから。
みなさん、今日はありがとうございました。
お手入れしない、と4人揃っちゃったのは
すごかったですが、でもまぁ、
愛着っていうのがやっぱり革の特徴で、
その愛着っていうものをたのしんでください、
ということですね。
[ 一同 ]
そうですね。
----------------------------------------------------
革について、こんなにも愛情をもって語る人たちが、
だれも手入れをしていない、というのには、
いやぁ、驚きました。
愛情をもって毎日使えば、いい感じになっていく。
この、ごくシンプルな革の極意、
マメじゃないわたしは、ちょっとうれしかったです。
みなさんは、いかがでしたか?
2010年、革カバーを選ばれたかたは、
ぜひ、おろしたての姿を写真を撮ってみてくださいね。
それでは、また。