2009.10.27
大人気のファブリックカバー「MORIKAGE SHIRT シリーズ」森蔭大介さんインタビュー(2/3)
[ ーー ]
シャツを作るときもそうですか?
[ 森蔭 ]
シャツに関しても、そうです。
デザインって、どんなものでも基本は 使う人ありきの仕事だと思うんです。
だから、作る側がああしたいこうしたいという以前に、 使う人はどうしたいかなということを考えてますね。
こちらが一方的に押しつけるのではない、 かといって、言われることを聞くだけでもない、 ちょうどその真ん中ぐらいのバランスのときが、 一番いいものになると思ってるんです。
[ ーー ]
森蔭さんはオーダーメイドのシャツも作られていて、 お店で直接、お客さまとやりとりされるなかで そのバランス感覚が培われているんでしょうね。
[ 森蔭 ]
だから、ものを作るときにまず考えるのは、 使う人がどう思うかなっていうことと、 あと、やっぱり使い勝手のこと。
使っていて、不便なところがあるよりかは やっぱりちょっと便利なほうがいいし、 そのためには、理にかなった構造になってるほうがいい。
[ ーー ]
なるほどなるほど。
[ 森蔭 ]
で、もうひとつ。
ちょっと平たい言い方をしてしまうと、 「かわいい」ほうがいいと思うんですよ。
かわいいというのは、 それを欲しいと思う動機になるもので、 それを使ってる自分っていうのが いいよなと思いながら使えて、 それをまた誰かが見て、 「それ、すごくいいね」って言われたりすると うれしいと思うんですよ。
[ ーー ]
便利なだけじゃなくて、 持っていて、うれしくなるようなもの。
[ 森蔭 ]
デザインされるものって、 そういうものであるべきだと思ってるんです。
機能性とデザイン性を兼ね備えた ダブルポケット。
[ ーー ]
9月から販売している「ボタン・ステッチ」も大人気で、 メールもたくさんいただいているんですよ。
[ 森蔭 ]
ああ、うれしいですね。
[ ーー ]
11月の「パッチワーク」を待っていてくださってるかたも 多いんですが、基本はどちらもシャツのイメージですね。
[ 森蔭 ]
そうですね。シャツっぽくしようというのは 最初から思っていたんです。
で、シャツといえば、ボタンとか前立てとか、 いろいろありますけど、なにかこう、 ちょっと立体的な要素を加えたいと思ったんです。
たとえば刺繍であったり、 縁をトリミングするとか、パッチワークとか、 こんなふうなことをやってみたらどうだろうという アイディアがいくつか出てきて。
▲森蔭さんのアイディアスケッチ
[ ーー ]
わぁ、アイディアスケッチですね。
これは最初のころのもの、でしょうか。
[ 森蔭 ]
ええ、簡単なスケッチしか描いてないんですけどね。
で、思ったよりも面積が小さかったんですよ。
[ ーー ]
ああ、手帳にかけると、さらに二つ折りになりますし。
[ 森蔭 ]
そうですね。この面積の中でどうするかと考えると、 これは、実際に作っていかないと わからないなという感じで、 次はもう、解体したものを元に型紙をおこして 実際にカバーを作りはじめたんです。
[ ーー ]
それは、縫うところからご自分で?
[ 森蔭 ]
そうです。まぁ、初めてやるようなことは、 ひと通り自分でやってみないとね。
まわりのスタッフにしてみれば、 「‥‥何してるんですか?」っていう話です。
「いやいや、まあ、放っといてくれ。
おもしろいとこだから、話しかけてくれるな」と(笑)。
[ ーー ]
(笑)さきほどのスケッチにあった 「ポケット両方」というアイディアが実現したのが、 11月の「パッチワーク」のカバーですね。
いつもはカバーの後ろ側にある外側ポケットが 前と後ろと、両方にあるのが大きな特徴です。
[ 森蔭 ]
そうですね、ポケットを両面につけたいという考えは、 初期段階からありました。
単純に、前にもポケットがあったら 使いやすいんじゃないかなと思ったんですよ。
[ ーー ]
ええ、なるほど。
[ 森蔭 ]
といっても、すでに手帳カバーとして完成した形だし、 これだけ仕様を変えるのは、 むずかしいかもなとも思ってたんです。
でも、カバーの機能としては、たぶん ポケットがふたつあっても困らないだろうし、 こう、前にポケットをつけられれば、 この辺をシャツの前立てに見せられるよな、と。
パーツの数も増えるので、それぞれ違う生地を使うと、 こういうパッチワークみたいなデザインも成り立つし、 ちょっと表現が広がるんです。
生地を重ねて、縁をトリミングしたりして、 立体感も出せる。
▲パッチワーク(ブルー×キミドリ)
▲パッチワーク(オックスフォード)
[ ーー ]
どちらも表側から見たときと、裏側から見たときで、 表情がかなり違って見えるんですよね。
生地の柄や色の組合わせが絶妙で、 それもすごくたのしいです。
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