
2009.09.04
リキッド・シリーズを手がけた平武朗さんインタビュー。(2/2)

▲右から3つ目の「垂れ」がもっとも長く、
一番左がもっとも短い。開いて見ると、
アシンメトリーなのがよくわかると思います。
ほぼ日
その理想がきちんと収まってますよね。
平
あと、垂れた部分にはきちんと丸みがある、
っていうのも大事なところです。
これはもう個人の好みなんですが(笑)。
ほぼ日
いえいえ、それが大事ですから(笑)。
平
あとはいかに自然であるかを気にしました。
やっぱり「垂れる」って自然現象ですからね。
ほぼ日
なるほど。
平
そういういろいろな要素を踏まえてみても
よく描けたと思いますよ。
ただ、洋服の場合はある程度の面積があるので、
デザインしやすいのですが、
手帳カバーの場合はこの小さな面積で
リキッドのデザインを
表現しないといけないわけです。
実際にデザインを起こすときも
面積を「やりくり」するのが
けっこうたいへんでしたね。

ほぼ日
手帳の面積が小さいばかりに‥‥。
そんな苦労があったんですね。
じゃあ、実際に仕上がったカバーを
ご覧になったときはどう思いました?
平
いや、それはもう、
とてもよくできあがっていることに驚きました。
ほぼ日
それを聞いてひと安心ですよ。
平
うん、ただ単にインクが生地の上に
ベタっと乗るだけじゃなくて、
乗ったインクから下の生地が透けるような、
そういった雰囲気までも
キチンと再現しているのはスゴイですよ。
ほぼ日
ありがとうございます!
平
ほかのプリントカバーとは
いろいろと違うらしいですね。
ほぼ日
はい。ちょっとだけ裏話を話しますと、
正直、このリキッドをプリントカバーで
再現するのは少々難しかったんです。
ただのプリントしただけでは
リキッドとは程遠いものになってしまう。
どうやったらリキッド特有の
生地にインクが乗っている質感を表現できるか
いろいろ試してみました。
平
この再現性の高さの裏には
そんな紆余曲折があったんですね。
ほぼ日
さらに、プリントカバーのなかでも
リキッド・シリーズだけ
糸の太さを太くした生地を使っていて
見た目や手触りを変えてるんですよ。
平
たしかにこう、
がっしりとした触り心地がありますよね。
生地の目が粗くて、
ナイロンというよりもキャンバスに近いですよね。

ほぼ日
そういういろいろな要素がうまくいったおかげで
今回のリキッド・シリーズの
完成度につながったというわけです。
平
なるほど。ここまでしてもらえたうえに
やっぱりこの完成度の高さはうれしいですね。
ほぼ日
そういうわけで、リキッド・シリーズを
ぜひとも、よろしくお願いいたします!
平
よろしくお願いします!
平さん、お話ありがとうございました。
リキッド・シリーズ誕生秘話、
いかがでしたでしょうか?
しかし、平さんのあの液体部分のラインが
フリーハンドだとはさすがに驚きました。
デザインするときにコンピュータはあまり
お使いにならないそうです。
リキッド・シリーズは
現在「ほぼ日ストア」で販売中です。
「リキッド・タータン」、「リキッド・アーガイル」
「リキッド・ボーダー」の3種類がございます。
ぜひ、売り場までお越しくださいませ。
また、プリントカバーの「フレンチ・レター」も
平さんが監修した「SUPERVINTAGE」のTシャツ
「千鳥とグレンのアップリケ」のデザインを
手帳カバーに落とし込んだものです。
こちらもぜひ。
それでは、また。