糸井重里のコラム
2026-05-11
勝率5割はお好き?

・勝率5割というのは、貯金も借金もない状態だ。どれだけたくさん試合をしても、勝ちも負けも同じ数。これは、あんまりいいイメージはなかった。ま、特にスポーツの場合はね、勝率5割じゃ優勝できない。だから、贔屓のチームが勝率5割の状態でいたら、「なんだかダメなんだよなぁ」と、さみしく思っていた。

しかし、このごろ大人になったせいか、「勝率5割って、わるくないんじゃない?」と思うようになっている。勝ちと負けの数が同じということは、わるい言い方をすれば「やらなくても同じ」ということ?

しかし、それは「さぁ、はじまるぞ」という状況とも、まったく同じだぞ、と気がついたのだ。じぶんに、貯金もないし借金もない、そして、新しくなにかをはじめるというときと、勝率5割の状態とは内実はそっくりなのである。ついでのように言うと、たくさん試合をしてきて、貯金も借金もないということは、「経験」は積み重なっているということでもある。そして、その期間、生きて動いてこられたということだ。

いや、正直なことを言うと、ただのスポーツ好きとしては、勝率5割は満足してないよ。ぶっちぎりの優勝とか、大好きだということは言える。それはそうなんだけど、勝率5割への敬意みたいなものを、もっと育てていきたいなと思っているのです。「勝率5割だけど、すっごく応援したいチーム」だとか、「勝率5割だけど、もっといけそうなチーム」だとか、「勝率5割だけど、チームワークを感じるチーム」とか、そういうところを、感じたり感じさせたりできると、たのしみはもっとたくさん増えると思うんだよな。

まぁ、スポーツは「戦さ」の代わりみたいなものだから、どうしても勝ち負けは大事なんだろうけど、それ以外の仕事では、魅力のある「勝率5割」が、うまくやれるといいだろうなぁと思う。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。意欲と諦観。ファイトとピース。夢中と微笑。みんな欲しい。

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