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第4回 においと儀式。
[糸井]
へー。
[永田]
で、そのあとにサラッと
「応援してます」って書いてあったんですよ。
それは、けっこう効きました。

[糸井]
あ、そうですか。
[永田]
なんていうんでしょう。
「そうするべきだ!」みたいな肯定じゃなくて、ちょっとさめた感じのひと言が、あ、うれしいなと思って。
がんばろうと思えましたね。
[糸井]
なんだろう、
「禁煙のご褒美」みたいなことはあんまりしたくないんですよね。
[永田]
わかります、わかります。
[糸井]
ご褒美を用意するのは違うと思うんだけど、よかったね、おめでとう、くらいの気持ちはあるんですよ。
だから、ツイッターにも、
「周囲はさわやかに無視してあげてください」
って書いたんだけど。
[永田]
そう、そのくらいが、助かるんですよ。
約束とか、ご褒美とか、プレッシャーとか、まぁ、あったほうがいいっていう人もいるんだろうけど。
[糸井]
あんまり、ちゃんとやらないほうがいいよね。
[永田]
そう思います。
スタートもゴールも、儀式がありすぎると、なんか、よくないような感じがするんですよね。
[糸井]
そうだね。
[永田]
あの、まさにいま、うちの会社の
「誰かさん」が禁煙中なんですけど、その人、値上げに合わせて
「10月1日に禁煙する」って言ってたんですよ。
でも、あんまりきっちり決めないほうがいいんじゃない? って思って、本人にもそう言ったんですけど。
[糸井]
そのとおりだね。
[永田]
そこまできっちりやると、はじまりからキツいっていうか。
その、走り幅跳びの踏み切りみたいに歩幅を合わせてポーンと跳ぶのって、それなりのセンスとか力が必要ですからね。
それよりは、「やるぞ」と決めて、ぱたぱた走りながらタイミングを見て、
「お、いけそう」っていうときに跳ぶような、たこあげくらいの踏み切りにしたほうが。

[糸井]
そうだね。
あと、逆の言い方をすると、日を決めて、じわじわカウントダウンしながらそこを目指すより、今日からやったほうがよかったりする。
[永田]
そう!
[糸井]
ぐずぐずしててもいいけど、いけるときは、いったほうがいい。
[永田]
「あ、いまかな?」っていうくらいの儀式なき踏み切りがいいと思うんですよね。
[糸井]
禁煙って、特別な経験じゃなくて、そういう日常だからね。
[永田]
ああ、なるほど。
[糸井]
だから、そっちに行けそうなときに、ひょいっと移っちゃったほうがいい。
[永田]
あとは、周囲は、さわやかに無視して。

[糸井]
うん。無視しながら、静かに応援を。
[永田]
そうですね。
(つづきます)