[横尾]
ダリでもね、表現になってるんですよ。
ダリは、無意識の世界に入っていったにもかかわらず、作品が無意識じゃないんです。
全部、説明されてしまっている。
無意識というのは、なにかを言って説明できるものじゃない。
それを、彼は全部説明しちゃったから、ぼくらはダリになかなか入りこめないんです。
つまり、拒絶させている原因は、描きすぎたことだと思う。

[糸井]
でも、それを認める市場があれば、そのルールの中で価値が出てくるんですね。

[横尾]
それはそうです。だから、ダリを認めてる絶対数はものすごく多いと思う。
ピカソとどっちが多いか知らないけど。

[糸井]
ピカソがピカソとして成立するまでの間には運もあったんでしょうね。
ピカソは、そうなりたくてなったわけじゃないわけでしょう。



[横尾]
ピカソはそういうふうな約束のもとに生まれてきて、それを貫き通すしかなかったんじゃないかな。

[糸井]
すごく高いことが、実際にはすごく低いことと同じだという話ですね。

[横尾]
そう。

[糸井]
要するに、ピカソは高さをめざして登っていっていちばん高いところに行った人ではない、ということですからね。
それは誰にもマネできないです。

(続きます!!)


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