ははははは、そうだよね。
意識が無意識に変わっていってるか、無意識が意識の仮面をかぶっているか、どっちかだと思うよ。
[糸井]
ある意味では、それはユートピアですよね。
[横尾]
あのね、魂と心と肉体を設定するとするじゃないですか。
ほんとうは、このみっつが一緒になれば、無意識は必要ないし、なにも必要ない。悩みもない。
いちばん親玉である魂は、悩みなんて本来持ってないでしょう?
悩みを持っているのは心です。
心がだいたい我々を支配して、ああでもない、こうでもないと迷ったり、悩みをつづったりさせます。
つまり、心が魂を邪魔してるわけでしょう。
魂が厳然として、これは真なのか、善なのか、魂に全部言わせて、魂に行動させればいいじゃないですか。
[糸井]
そうですよね。
[横尾]
だから、心を魂に吸収させてしまえばいいんですよ。
あるいは無意識に吸収させればいい。
[糸井]
‥‥いやぁ、おもしろいことを伺ってますけど、横尾さんは、だいたいおひとりでこういうことを思ったりしてるんですか?
[横尾]
ひとりって?
こういうことは、みんなでやるわけ(笑)?
[糸井]
そんなことないですものね。
[横尾]
きっと、絵を描いてるときがいちばんおしゃべりになってるんでしょうね。
おしゃべりっていうのは、声を出さないでなにもしゃべってない状態ですよ。
[糸井]
わかります。
[横尾]
むしろ、しゃべらない状態なんだけれども、その押し黙った時間の中で、ぼくの知らないうちにぼくが活動してるんじゃないかな。
[糸井]
それじゃやっぱり、絵はやめられないですね。
[横尾]
絵はたぶんやめないでしょう。
もし生きながら絵をやめるんだったら、どうしたらいいかなぁ。
もう進歩も、成長も、そこで切っちゃうわけだから。
[糸井]
自分との対話がなくなりますよね。
[横尾]
うん。
でも、そんなことさえも考えない状態になるのがいいね。
まぁ、頭掻くかわりに絵描くか、とか、絵描くかわりに頭掻くか、みたいに。
だって、これから先の時間を考えるとさ、仮に80歳まで生きたとしても、あと10年、ないわけですよ。
あと10年生きれば、ぼくは「上」に行くわけでしょ?
その短い時間の中でどうしようったってね。
(続きます!!)
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