榎本健一さんと人気を二分し、
「エノケン・ロッパの時代」などと当時称された。
もとは雑誌の編集者で、声帯模写が人気を博し、役者に転身したんだそうです。
永井荷風さん作家、随筆家。代表作『あめりか物語』など。
豊かな表現力で多くの読者に支持される一方、ストリップ劇場の楽屋に入り浸ったり、遊女と浮き名を流すなど、ちょっと変わった人だったみたいです。
[糸井]
あー、はい、はい。
[三谷]
永井荷風さんは、晩年、ストリップ劇場の楽屋に通っていて、それはドラマのセリフにも入れましたが、そのうち幕間のコントみたいなお芝居の台本を書きはじめて、驚いたことに自分も出演していたらしいんです。
そのへんはすごく自分と共通するものを感じて。
[糸井]
はははははは。
[重岡]
(笑)
[三谷]
そういったこともあって、永井荷風さんはどんな形でもいいから入れたいなと思ってました。
そこに、時代をつくっていく糸川英夫さんがいて、取り残されていく古川緑波さんがいて、それを、こう、ただ見てる永井荷風さんがいる、っていう図式がはっきりと見えたんですよ。
[糸井]
その3人はあの時代を描くときに三谷さんにとってすごく重要な人物なんですね。
[三谷]
そうですね。
戦後のあの時代を描くときに、欠かせない。
[糸井]
昭和の‥‥あれは、何年から何年ですか?
[重岡]
昭和2年から39年の37年間です。
[糸井]
37年間かぁ‥‥。
許されるなら、もっと入れたかったでしょう?
[三谷]
それはそうですね。
なかでも入れたかった話がひとつあって。
[糸井]
うん。
[三谷]
それは、このドラマをつくるために当時の資料を調べていて知ったことなんですけど、この時代、米軍基地にオズワルドがいたんですよ。
[糸井]
オズワルド! へぇ!
[三谷]
ケネディーを暗殺した男です。
これはドラマになる、と思って。
オズワルドケネディ大統領を暗殺したといわれる、リー・ハーヴェイ・オズワルド。
逮捕された直後にマフィアによって警察署内で殺されてしまった。
ケネディ大統領の暗殺に関しては謎が多く、いまだに諸説があるが、当局の発表はオズワルドの単独犯行ということになっている。
[糸井]
うん、うん。
[三谷]
僕が考えたのは、オズワルドが銀座でチンピラに絡まれて殺されかけてるところを佐藤隆太が助ける。
[糸井]
はぁーーー(笑)。
[三谷]
で、佐藤隆太が、
「がんばれよ」って言って別れるんです。
[糸井]
で、がんばっちゃう(笑)。
[三谷]
っていうような話を、書きたかったんですけど、オズワルドの遺族が見つからなくて、実現できなかったんです。
[糸井]
ああー。そういう難しさもあるんだ。
[重岡]
あります。そこはけっこうたいへんでした。
[糸井]
なるほどねぇ。
(つづきます)
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