もう、状況的には、怪談だよ。
だって、その灯りのところまで行く道は、舗装なんてされてなくて、草っぱらだからね。
きつねが出るようなとこなんだよ。

[糸井]
出てほしいねぇ、きつねに。

[南]
で、まんじゅうだと思ってたら馬糞を食わされてて。



[糸井]
そうそう。もらったお金は葉っぱでね。

[南]
布団かと思ったら寝てるのは墓石で。

[糸井]
赤ん坊かと思ったら背負ってるのは地蔵で。

[南]
いや、だから、そうじゃなくてさ。

[糸井]
うん(笑)。

[南]
ようやく灯りのとこまでたどり着いてさ、
「ごめんくださーい」って言ったんだけど、誰も出てこないんだよ。

[糸井]
「こーんな顔だったかい?」ってのっぺらぼうのフラミンゴが‥‥。

[南]
「誰も出てこない」って言ったじゃないか。

[糸井]
そうだった。

[南]
電気はついてるんだけど、呼べど叫べど、誰も出てこない。
しばらく待ってたら、そこんちの人がふいに帰ってきて。

[糸井]
おお。

[南]
で、かくかくしかじかで、にぎやかな場所だと思って降りたんだけど、って正直に言ってみたら、やっぱり、
「ここは、ぜんぜんにぎやかじゃないです」って。
「引き返したほうがいいです」って。

[糸井]
よっぽどすごいところだね。

[南]
それで、その人が、一所懸命調べてくれてね、
「臨時ののぼり電車が1本だけありますよ」
っていうので、なんとかそれに乗って帰ってきたっていうことがある。



[糸井]
それが、唯一の‥‥。

[南]
うん。ひとり旅‥‥とはいえないか。

[糸井]
そうだねぇ。

[南]
だって、日帰りだもんね。結果的に。

(お友だちにも教えてあげよう。つづきます)


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