へーーー。
[南]
コップ一杯ぶんくらいのところだよね。
[糸井]
そうそう。そこは網になってるからさ、そこから先はさすがに行けなかったみたいで。
でも、すごいでしょ。洗われてる最中だよ。
[南]
もう、だいぶんヌメりも取れて、さっぱりしてきてるのに。
[糸井]
うん。人間だったら観念してるよ。
ところが、タコにはタウリンがあるからね。
[南]
はー、タコにはタウリンが。
[糸井]
あるんだよ。
しかも1000ミリグラム以上あるからね。
だから、がんばれるんだ。
で、まあ、そんなこんなで、苦労しながら、桜煮をつくって食べましたよ。美味かったー。
[南]
そりゃあ、美味いだろう。
なんてったって一度は逃げられたタコ、逸したタコですよ。
[糸井]
うん。ひとしおですよ。
[南]
一回、水道管を通したことによって、うまみも増してるね。
[糸井]
いや、水道管までは行ってない。
[南]
そうか、そうか、網があったからな。
[糸井]
うん。網のところはお茶殻でも通らないような小さい穴しか空いてないからさ。
[南]
さすがのタコも。
[糸井]
さすがのタコでもムリです。
いくらタコが隙間から逃げるといってもお茶殻以上の大きさはあるから。
[南]
だな。
[糸井]
そういうお話を、話したかったんだ。
これは、伸坊から譲り受けてもいいでしょ。
[南]
うん、うん、いいこと聞いた。
で、さ。そのときにさ。そのタコをさ。
こう、ツーっと切ったりした?
[糸井]
うん、したよ。
[南]
タコの血って、どういう色してるか知ってる?
[糸井]
うわ、そう来る。
[南]
タコの血は、ね。
‥‥青いんだ。
[糸井]
返すわ、「タコの話」。
(俄然、続きます)
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