最終回 基準はひとつじゃない、正解はいっぱいある。


[糸井]
企業も、生産性とか効率とか、散々、表向きのロジックとしては語っていますよね。
けれどそこで埋められない部分というのを、例えば専門用語で、モチベーションなんて言葉を使っていて。
それはもう、ほんとは説明できない、という話をしてるんだと思うんです。

[井上]
だけど、概念をつくって、そのモデルを作って、わからないものをモデル化して、置き換えて、そこから、いくしかないですよね。

[糸井]
すべり込ませますよね。
いまでは、エモーショナルマーケティングとか名前をつけて昔で言えば神様にあたる部分とか、人間はしょうがないという部分をなんとか共通の言語でやりとりできるようにしてますけど、まあ、それは流行がありますからね。

[井上]
そうですね。
それはまあ、時代と共に変わるでしょうし、いろんな意味で、結果的には、最終的には見えないものかもしれないけどそういうものを求めて、そういうもので、とにかく納得しないとおさまらないというそういう脳になっちゃってますね。我々。

[糸井]
そうですね。
こういうお話になるとは、思いもよらなかったです。
ともだちだという前提で睡眠のことを普通に話したらどうなるだろうとほんとに自然にやってたつもりだったんですけど、とてもぼくには、おもしろかったです。
「ほぼ日」の読者にもこのまま伝えられたらいいなと。
ぼくにとっては、やっぱりキーワードは「甘め」でした。
「甘め」と言う言葉はずっと昔から使ってらっしゃいましたか。

[井上]
いや、「甘め」と言う言葉は使っていませんでした。
どちらかというと個人差と言いますか、多様性みたいな、基準はひとつじゃないということですね。
正解はいっぱいある。
しかもそれは個人ごとに違う。
そういうことは、昔から言ってましたけどね。
例えば、グルメ的とか究極というのに対する
「甘め」という、そういうのは、言葉としては使ってませんが、内容は同じことですね。

[糸井]
何かを伝えるときのいい道具になりますね。
ありがとうございました。
こういうお話をなさる機会というのは‥‥

[井上]
いや、ありませんね。

[糸井]
じゃ、ぼくらはラッキーだったわけですね。
とてもうれしいです。

[井上]
ラッキーだと言ってくださって、大変光栄です。
糸井さん、独創性のあることを、どんどん、やっていってください。

[糸井]
なかなか難しいんです、でも。

[井上]
難しいから、やりがいもあるんです。

[糸井]
そうですね。
なんとか、あわてずに、ちっちゃくても進められたらいいなと思ってやってます。
どうもありがとうございました。
いやぁ、おもしろかったなぁ。
この特集は、どこから掘っていっても、その先生による個性がやっぱりあるんですね。

[井上]
そうでしょうね。
なにしろインチキな話をしたんじゃないかと思うんですけど。
要するに学問としてこれ以上隙間がないということじゃなくてわかってないことの方が多い、そういう領域ですからね。
点と線でフィクションつくってるようなことにならざるを得ない。

[糸井]
おもしろかったなぁ。
まるで、ある意味ではお坊さんと話してるみたいな感じでした。

[井上]
出家した方がいいでしょうか。(笑)



(おわり)


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