第3回 「寝てる場合じゃない」時代のあとに。

一方では、基礎の研究をやってる我々みたいなグループが、いろんな意味で、睡眠がいかに脳の中で大事な役割をしてるかということをデータとして出しつつあったんですね。
われわれが非常に幸運だったのは、世の中が後押ししてくれたということです。
世の中に、睡眠をもっと知らなくちゃいけない、睡眠を大事にしなきゃいけないという認識が高まるのと並行して、うまく、進んで来た。
当時の文部省だとか科学技術庁なんていうのは、全然、睡眠のための予算なんていうのは考えもしない。
講座をつくろう、なんていう、そういう発想もなかったんです。
でも新聞やテレビが睡眠を話題にしてくれて、日本の数少ない睡眠の研究をしてる人間をひっぱり出して、何かしゃべらせる、ということ盛んにやりだしたんです。
わたくしなんかは、ずいぶん本を書いたり、いろんな研究以外のことをやりましたけどそれは結果的には、ある程度、社会に還元して、社会に訴えて、社会の理解をまず、こちらに、味方にという、そういう考えもありましたから、できるだけ、丁寧に対応するようにしてきましたが。

[糸井]
ここにも、来てくださいました。

[井上]
そういう形で今世紀が始まるわけですね。



(つづきます。)


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