第1回 ともだちとして、訊かせてください。
[糸井]
みごとに工業社会のロジックですよね。
相手からすれば、納得しやすいと、いうことですよね。
[井上]
納得してくれる人は、あまりいませんでしたけどね。(笑)
[糸井]
はっはっは。
そうですか。
[井上]
でも、それで押し通したんですね。
要するに生き物らしい現象として、2つ、あると。
ひとつは、子どもを作るということです。
これは、まだいくら高級な機械でも自分で子どもを産めませんね。
もうひとつは、眠るということです。
なぜ眠らなければいけないか、ということを研究することは、生物を知る本質でもあるし、人工物との違いを探ることでもあるという、そういう哲学なんですけどね。
それで、とにかくやっちゃったわけです。
東京医科歯科大学は、エンジニアのたくさんいる研究所だったものですから、いろんな腕利きがいるわけですね。
すぐ道具が作れるとか、コンピュータのソフトも自分で開発するとか、そういう人もいるし、それから、物質の非常に微小なものを取り出して、これがなんだということを決めるような、化学の優れた人もいるし、そういう人を束ねて、脳の中にそういう物質があるのをどうやって測るか、あるいは、物質として取り出すか、というようなことをやり始めたんです。
(つづきます。)
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