「書く女」の覚悟

ノンフィクション作家の梯久美子さんは、本当に勤勉です。ご自身は
「なまけ者。明日できることは今日やらない」
とおっしゃいますが、いやいやいやいや、全然そんなことはない。

ほぼ日の學校・万葉集講座で
「昭和萬葉集」を論じていただいたとき、準備のしすぎで話題たっぷりになって、時間が足りなくなったために、講座全体が終了したあとで
補講をしていただきました。
それもまた徹夜で準備をされ、みっちり中身の濃いものになりました。
あの熱気あふれる授業がほぼ日の學校アプリで再配信となりました。

最近は何を書いていらっしゃるかな、と思って調べたら、
『この父ありて 娘たちの歳月』という本が先月刊行されていました。
石牟礼道子、茨木のり子、田辺聖子、石垣りん、萩原葉子ら9人の「書く女」とその父の唯一無二の物語が綴られています。

これがまた、すごい一冊です。
『置かれた場所で咲きなさい』で知られる修道女の渡辺和子さんが九歳のとき、二・二六事件で父の銃殺を目の当たりにし、
「私は父の最後のときを見守るために、この世に生を享けたのかもしれない」
と語るまでの人生。

「ラーゲリより愛を込めて」という題で来月公開される映画の原作として、改めて注目される『収容所から来た遺書』を代表作とする辺見じゅんさんが、いかに父・角川源義を追う形で戦争文学の道に進んでいったか。

そして、梯さんの補講のテーマでもあった島尾ミホさんが慕ってやまず、しかしそれ故に自責の念にかられた養父との関係など、9つの豊穣で濃密な物語が描き出されています。

自身「書く女」である梯さんが、いったいどのような覚悟でノンフィクションを書いていらっしゃるか。
この補講の最後で語られるくだりがあります。
どうぞお聴き逃しなく。

2022/11/09 11:05

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