「日本の文学はLOVE」

日本文化のおもしろさや深みについて外国の方の指摘で再認識することはままあることですが、万葉集講座で
ピーター・マクミランさんのお話を聞いたときも、まさにそうでした。

英語の百人一首カルタ
「百人イングリッシュ」を考案したマクミランさんは、『伊勢物語』を例に日本人がどれほど昔から恋の歌をたくさん詠んできたかを語ってくださった上で、その恋心、歌心は、今を生きる私たちにもあるとおっしゃいました。

「日本の文学はLOVEなんです」
マクミランさんの言葉です。

そして、その言葉に励まされて、この授業では、誰もがその姿を知る富士山に寄せて、それぞれのLOVEを歌にしました。
受講生のみなさんが披露する秀歌をぜひ聞いてください。

この授業のあと、マクミランさんは万葉集の英訳に取り組んで本を上梓されました。
『英語で味わう万葉集』。
古文がわからないのに、英語でなんてもっとわからない。
そう思われるかもしれませんが、案外そうでもないのです。
マクミランさんの英訳はシンプルに作られていて、とてもわかりやすい英文もあります。

君が行く海辺の宿に霧立たば我が立ち嘆く息と知りませ
上野誠さんの授業をご覧になった方は耳に馴染みがあるかと思います。
上野さんの名調子が耳に蘇りますね。
その訳です。

If your lodge by the seais covered in mist,please know it’s my breaththat covers you with lamenting sighs.

マクミランさんのやさしい声を脳内再生しながら口に出して読んでみてください。
原文とはまた違った趣があります。
そしてこれもまた、恋心の歌ですね。

2022/09/21 11:02

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