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自分のゼロに立つ ほぼ日の學校、昨夜の講師は河合塾講師の三浦武さんでした。 「大きくなったら予備校教師になりたい」 七夕の短冊にそう書く子供はいない、と自虐気味に語りながらもひょんなことから就いた仕事が三浦さんにとっての「一生の仕事」になるまでのプロセスを聞かせてくださいました。 まずはご自身が浪人になったときの発見から。 高校生でも大学生でもない何者でもない宙ぶらりんな存在。 それは属性をはぎとられて生身の自分に出会うこと。 「自分のゼロに立つ」という表現もされました。 自分は秀才ではない。 だから「わかる」のに苦労する。 予習して、授業の前の晩に自分がわかっていった過程を生徒の前でしゃべる。 わからないから知ろうとする。 わからないことが尊い。 生身の自分に出会う浪人生たちに、嘘をつくことなく、彼らの1年間を満ち足りたものにしたい。 浪人生にとっては、 「なかったことにしたい1年」 かもしれないけれど、それを 「忘れられない1年」にしたい。 浪人に限らず「つまずく」ことの恵みにも言及されました。 サイコロの6を出し続ける人生は、速く進むけれど、制度の上をすべる不幸があるかもしれない。 どこかで1は出る。 それなら早い方がいい。 つまずくことで、見る時間ができる。 経験が増える。 そして三浦さんがこんな風に考えるようになった予備校の伝説的先生の存在…… 書ききれないくらい胸に沁みるお話の連続でした。 そして最後は、三浦さんが現代文の読解と同じく人間を「人間につなぎとめる」ための切ない努力であると考える芸術の話。 三浦さんが愛してやまない蓄音機の音に耳を傾けて余韻を楽しみました。 この授業はいずれ、ほぼ日の學校でご覧いただけます。 どうぞお楽しみに。 2022/06/21 07:09 |
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