万葉集と私たちの 「恋のうた」

ほぼ日の学校万葉集講座第6回の講師は歌人・俵万智さん。
「万葉びとの恋」と題して、千年以上かわることのない人々の恋ごころについてお話いただきました。

この日の授業を前に俵さんから受講生のみなさんに出された宿題が、「恋の歌」。

俵さんの呼びかけはこんな言葉でした。
「恋は、万葉集の時代から今に至るまで、短歌のメインテーマでした。
つまり千年以上たっても、歌いつくされていないのが恋なのです。
恋の歌の歴史は、滔々と流れる大河です。
みなさんも一首詠むことで、この大河に連なってください。」

これに応えて、60人以上の方々が恋の歌を寄せてくださいました。

その前に、まず講義は万葉集の恋の歌から始まりました。

俵さんが「恋の原点」と呼ぶのが、万葉集巻十四の歌です。

多摩川にさらす手作り(てづくり)
さらさらに何ぞこの兒(こ)のここだ愛(かな)しき

多摩川で布をさらす労働の歌でありながら、どうしてこの子がこんなに愛しいのだろうと詠む恋の歌でもあります。

俵さんは言います。
「ふつうの『好き』は理由がわかる。
顔がいいとかお金があるとか。
『〜〜だから』と理由が言える。
でも、どうしてこの人をこんなに好きなのかわからないのに惹かれているのが恋。
それが私の恋認定の印。
『何ぞこの兒のここだ愛しき』こそが恋の原点なのです」

俵さんは、万葉集を読むことは57577という定形のタイムカプセルに込められた手紙を私たちがいま受け取っているようなものだと語ります。
1000年以上前からの手紙を受け取って読むことができるのは、後に生まれた者の特権だとも。
古典を味わう喜びを改めて教えてもらった夜でした。

後半は、受講生のみなさんが詠んで選んだ恋の歌を合評しました。
いちばんたくさんの票を集めたのは、こんな歌でした。

宿題が 恋の歌だと 知ってからちらりちらりと 我を見る夫(つま)

歌を詠むことで、違う時間の流れをもつことができる。
心が揺れたときに、立ち止まって言葉を探す。
すなわちそれは、人生を丁寧に味わうことであり、丁寧に生きることに他ならない。
みんなでそれを実感した俵万智さんの授業でした。

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2019/03/26 22:43

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