犬と。

フィンランドより武井です。
ヘルシンキから2時間電車に乗って内陸部へと移動しました。
ここで、夏に取材をした
「エーリクさんとトゥーラさん夫妻」にふたたびお会いしたところ、すてきなプレゼントをもらいました。
そのプレゼントというのは
「犬ぞり乗車券」。
というか「乗車権」。
知り合いの犬ぞり屋さんに
「この日本からのともだちを 乗っけてやってね」
みたいな感じで頼んでくれて、凍った湖面を1時間半、犬ぞりを走らせてくれたのです。

湖の氷上で、風を受けて走ると、どんどん体温が奪われていきます。
ニットキャップの上からダウンのフードをかぶりましたが、それでも頭のてっぺんから、熱が逃げていく。
そしてトナカイの毛皮を敷いていても尻から冷えていく。
そうして真っ白な風景を走っていると目から入る情報の少なさと寒さでだんだんぼんやりしてきます。
白い光と、犬の後ろ姿ばかりが見える。

犬たちはひたすらに元気です。
ときどき休みながら1時間半、給餌もなく水も飲まずに走り抜きました。
犬ぞり屋の兄ちゃんの指示を確実に聞き、したがいながら、じぶんたちの最大の力をおしみなく提供してくれます。
といっても個性があって、
「いつもは怠け者だけど 今日はやけにがんばってるやつ」とか
「もうすぐ産休に入るけど まだまだ走るつもりな子」とか
「体力も知恵もあるリーダー格」とか
「その横で走って リーダーシップをまなぶ若者」とか、
「走りながらウンコしちゃう子」とか
「うさぎが来ると興奮して困る子」とか。
じつにばらばら。
でも犬ぞりは走る。
兄ちゃんの声があれば、力強く前に向かって走る。

犬と人ってこんなふうにやってきたのかもしれないなぁ。
友情をそだてながら、契約をむすびながら、信頼をきずきながら、いっしょに旅をしてきたんだろうなぁ。
なんて思ったり。

さーてあすはまた移動です。
次の目的地でもいろんなおじさんに会ってきます。
民家に泊めてもらうのでたぶんネットは不通です。

2009/03/12 14:38

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