待つ男。

オフィスのキッチンにぽつんと座る男がいる。

男はしょぼくれているが、どことなく気品のようなものを感じさせなくもない。
その理由がなにかというと、見たまえ、彼の首もとを。

ネッカチーフかと見まがうそれは、タオルである。
彼はタオルを首もとに巻いている。
朝食に望む、カリオストロ伯爵のように。

そして男の目の前にはスマートフォン。
画面を見るに、時を刻んでいる。
50秒、51秒‥‥。

その向こう側に見えるのは、そう、カップ麺である。
どうやらカレー味の。

やがて3分の時が過ぎて、彼はふたをはがし、カレー味のカップ麺をすする。

白いシャツにカレーの汁がはねるのでしょうか?
いいえ。大丈夫。

なぜというに、彼の首もとからは、ネッカチーフ然としたタオルがぶら下がっているから。

オフィスのキッチンに、ぽつんと座り、カレー味のカップ麺をすする男がいる。
男はやはりしょぼくれているが、どことなく気品のようなものを感じさせなくもない。

2016/06/01 18:49

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