第10回 お菓子の場所にいる人。


[糸井]
今、何名ぐらいの方が働いていらっしゃるんですか。

[斎藤]
正社員が50人でパートさんも40人ぐらい。

[糸井]
ホームページを見ると、スタッフの方もたのしそうにやってらっしゃいますね。

[斎藤]
たのしそうにやってると思います。
売上げがどうのとかいうことよりもそれが今、いちばんうれしいですね。
「クオカのみなさん、元気いいですね」とか
「たのしそうですね」ってお客さまに言ってもらえるのが何よりの喜びです。

[糸井]
ぼくも、そこはよくわかります。
ああ、たくさん話しましたね。おもしろかった。
斎藤さんが、普通で、ほんとうにおもしろかった。
ありがとうございました。
言い足りないこと、ありませんか。

[斎藤]
あの‥‥前に「いろどり」の横石さんとトークイベントをさせていただいたときに糸井さんの言葉にぼくは感銘を受けたんですけど。

[糸井]
なんか、いらんことを言いましたか。

[斎藤]
いや、そうじゃなくて(笑)。
糸井さんは
「買うことがいい製造者を育てる」という話をされたんです。

[糸井]
ああ、言いましたね。

[斎藤]
よく考えると、製造する人とお客さまの間にぼくらのような小売りする人間がいます。
ですから、我々は両方見なきゃいけないです。
いい消費者も育てていい製造業も育てなきゃいけない。
糸井さんのお言葉を聞いてぼくらは社会的使命が大きいなと思いました。
製造者とお客さま、そこに我々が間違いなく介在していて、いいものが売れればいいものをつくる人ができる。
だから、我々もいいものを売っていいものをつくってもらい、いいものを買ってもらって喜んでもらう、それはすごく大切だなと思いました。

[糸井]
そうですね。
お客さんに対していい顔できても、製造する人がどう喜んでくれるだろう、ということについてはつい後回しになっちゃうんですよね。

[斎藤]
バレンタインが終わると、ぼくらも少しは時間ができる時期が来るので、そのときにはできるだけ製造者の方々のところを回ることにしています。

[糸井]
そこはとても大事なことですよね。
ぼくらも見習うようにします。
最後に、お父さんのことを訊いていいですか?
徳島で、インターネットを熱心にやってる斎藤さんを柱の影から見ていたお父さんは、今、何とおっしゃってますか?
「えらいところまで行ったな」とか‥‥

[斎藤]
「もっともっと行け。早く世界に出て行け」

[糸井]
はははは。
お父さんって、砂糖の悪口言ってると電話する人でしたよね、たしか。

[斎藤]
ラジオで歯科医師会が砂糖で虫歯になると放送したとたん、歯科医師会に電話して怒鳴り込み、2時間説教してきました。



[糸井]
そこにもビール会社の社員と共通したものを感じるなぁ。

[斎藤]
うん、どこもあたりまえのように本気ですからね。

(おしまい。ご愛読、ありがとうございました)


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