第7回 メチャクチャ回り道。
[糸井]
民宿の人に「大丈夫?」って訊かれて
「ええ、大丈夫です」なんて言って。
[斎藤]
なかなかもとに戻らなくなっちゃって、
「えーい」ってメチャクチャになって無理矢理もとどおりにつなぎなおしたこともありました。
[糸井]
しかも「ピーガラガラ」の時代ですから、その場で電話代がかかっちゃうんです。
「お支払いはどうしたら」と訊いても民宿の人にはわかんないから
「いいよ」って言われちゃう。
「じゃ、これだけですいません」って、3000円置いて。
[斎藤]
そんなこと、いっつもやってました。
[糸井]
今になって思えば、あれだけ一生懸命やる必要はなかったのかもしれない。
もっと上手に、いなしてればよかったかもしれないんだけど、ちょっと余計なことまでやったことが今の栄養になってるような気が、ぼくはするんです。
[斎藤]
絶対にそうだと思います。
ぼくはもう、いろんな意味でメチャクチャ回り道してます。
ぶつかって、こっちに逃げて、ってやってますけど、本当によかったなと思います。
[糸井]
それで、後戻りした気持ちになったことはないでしょう。
[斎藤]
ありません。
[糸井]
インターネットを選んだ時点でもそうでしたよね。
初期の頃、ぼくはずいぶん
「もう遅い」という言い方をされました。
今考えてみれば、遅いどころじゃなくて早くてうまくいかないだけだったと思います。
[斎藤]
あぁ、わかります。
[糸井]
ネットにくわしい人にそう言われると、実はめげましたね。
[斎藤]
「ネットで小麦粉なんか売れるか」
というようなことを、さんざん実の親からも言われたりしました(笑)。
「小麦粉がネットなんかで売れたら苦労せんわい」
[糸井]
汗をかかないことはよくない。
[斎藤]
そうなんです。
[糸井]
嘘じゃないんですよ、それは。
汗かかないことはよくないんです。
だけど、そうじゃない汗をかいてるんですよね。
[斎藤]
そう、そう。
(つづきます)
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