[村上]
はい、ページのコピーを取らせていただいて、いろんな観点から、分析をしています。
ここにあるのは、100人ぶんの高校生のノートですが‥‥。

[ほぼ日]
100人! すごいなぁ‥‥。
あ、これは歴史のノートですかね。
「天下統一のうごき」。



[村上]
この人は、紙面をめいっぱい使うタイプですね。

[ほぼ日]
ああ、国語の場合は、こうやってタテにしてました!
「下二段活用」とか書いてある。‥‥古文かな?



[村上]
最近の高校生は、色をたくさん使うみたいですね。



[ほぼ日]
なるほど‥‥こういうリサーチから生まれた商品のひとつがあの、話題になった、通称東大ノートですか?


「キャンパスノート(ドット入り罫線)」
(通称「東大ノート」)。

[村上]
東大合格生のノートのとりかたから生まれたキャンパスノートのことですね。
あれも「Campus」シリーズのひとつですけど、ちょっとまた、別なんですよ。
出版社の文藝春秋さんと太田あやさんというライターのかたが東大合格生は、ノートのとりかたが美しいということに注目されたのが、そもそもの、きっかけだったんです。

[ほぼ日]
なにか本を出版されてましたよね?

[村上]
ええ、『東大合格生のノートはかならず美しい』という本。
で、その本との共同企画として実際のノートを開発したんです。

[ほぼ日]
ははぁ。

[村上]
太田さんは、本を書くにあたって
「東大合格生のノート」を200人ぶんくらい、集めてらしたんですが‥‥。

[ほぼ日]
こんどは200人ですか。すごい(笑)。

[村上]
それら太田さんが集められた「東大合格生のノート」を研究して開発したのが
「東大合格生のノートのとりかたから生まれた キャンパスノート」として有名になった商品なんです。
このドット入り罫線の「Campus」がそうなんです。


こちらが試行錯誤の末にたどりついた、
「美しいノート」をつくる解決策「ドット入り罫線」。

[ほぼ日]
罫線にドットを打った‥‥という発明ですよね。

[村上]
はい。罫に等間隔のドットを打つことによって文頭をキレイにそろえることができ、数学の図形やグラフも、フリーハンドで美しく描くことができるんです。



[ほぼ日]
あの‥‥こう言っては何なんですけど、
「東大合格生の」‥‥という謳い文句からしてもなんかもっと「ハデな」といいますか、
「なるほどーっ!」という仕掛けがあるのではと思ったりしたんですが‥‥。

[村上]
まぁ、見ためは地味ですよね(笑)。

[ほぼ日]
こういうノートが、今までなかったことのほうが、不思議なくらいで。

[村上]
ええ。

[ほぼ日]
東大合格生のノートのヒミツが
「キレイに書いてただけなのか?」という疑問も、うっすらとですが、あります。

[村上]
研究の結果、東大合格生のノートって復習のために見返したときに、学んだことを効率的に覚えられるノートだったんです。

[ほぼ日]
なるほど。

[村上]
つまり「何のために、どうノートを取るのか」
ということが、明確なんですね。

[ほぼ日]
効率よく覚えるために、キレイに書く‥‥と。

[村上]
そう。文頭がそろっていたり、項目がキレイに整理されているということは、単に「見ためが美しい」だけじゃなく、頭のなかを整理する、意味を持った「美しさ」だったんですね。

[ほぼ日]
はー‥‥。

[村上]
そこで、紙面をそうやって美しくみせるためのサポートをしてくれるような機能性が新しいノートには、必要だと気づいたんですよ。



[ほぼ日]
それが「ドット入り罫線」だった、と。

[村上]
はい、とてもささいなことのように見えますが、試行錯誤の末、ようやくたどり着きました。

[ほぼ日]
その結果、えー‥‥売れたんでしたよね?

[村上]
はい、おかげさまで、発売4ヶ月で、150万冊くらい売れました。

[ほぼ日]
ドットをつけて、150万冊。うわー‥‥。

[村上]
ええ。‥‥見ためは地味なんですけどね(笑)。

<つづきます>


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