でも、そんなコクヨという会社をわれわれ、詳しくは知りませんでした(すみません!)。
もちろん、代表的な商品「Campus」ノートは学生時代に使っていたし、横山やすしさんや桂文珍さんが宣伝していた学習机「くるくるメカ」のことは、CMともども、かなり鮮明に覚えています。
でも、コクヨってそもそも、どんな会社‥‥?
次回からの取材本編をはじめる前に、ウォーミングアップとして、コクヨさんのことを、ちょっと紹介しておきましょう。
まず、創業は1905年。
当初は、和式帳簿の表紙を売る店としてその歴史をスタートさせました。
創業者は黒田善太郎さんというかたで、お店の名前は「黒田表紙店」。
こちらが創業者の黒田善太郎さん。
当時の商人さんが使っていた和式帳簿の、表紙だけを売るというお店でした。
なぜ「表紙だけ」‥‥?
そもそも、和式帳簿の「表紙」というのは、帳簿全体の価格の「5%」しかなく、コクヨさんのホームページにも
「割の合わない商売」
「ニッチな仕事」‥‥などと当時の商いのことが書かれていたりします。
しかし、善太郎さんは信念を持って事業に打ち込み、じょじょにじょじょに、店を大きくしていきました。
大阪の南堀江に建てられた創業当時の社屋‥‥というか「黒田表紙店」の店構え。
ちなみに、1905年ということは、今年で創業104年。
そんなに老舗だったとは、知りませんでした。
余談ですけど、100年以上の歴史を持つ会社って、日本全国160万ある会社のうち、1%にも満たないそうです。
和式帳簿の「表紙のみ」を売っていた黒田表紙店ですが、その後、事業の拡大につれ「商標」が出来てきます。
それが、こちら。そうです、これで「コクヨ」と読むのです。
作ったのは、創業者の黒田善太郎。1917年のことでした。
最初のロゴマーク「朝日ににおう山桜」ではまだ漢字表記だった「国誉」。
この商標「朝日ににおう山桜」には
「自分の立身出世を温かく見送ってくれた郷里の ほまれ(誉)とならなければならない」という、善太郎さんの思いが込められていました。
それで「国誉=国のほまれ=コクヨ」なんですね。
だから「国」とは「日本」を指すのじゃなくて創業者の郷里・越中富山のことなんだそう。
そして後年、この商標が正式社名となっていきます。
1961年、コクヨ株式会社が、誕生するのです。
時代がくだるにつれ「国誉」ロゴマークも変遷してゆく。
現在2009年は、善太郎さんの創業から104年め。
コクヨという会社は、いまやグループ全体でなんと13万品番(!)ものものつくりを行う、みなさんご存知の有名メーカーとなっているのです。
2005年、創業100周年を記念してリニューアルされた現行のロゴ。
コクヨを取材してみたいと思った大きなポイントは、
「なんか、みんなに好かれてる」ということ。
そして「好かれている」のが「製品」なので、コクヨ製品の開発を担当されているおふたりの方に、話を聞かせてもらうことにしました。
そのおふたりとは定番商品「Campus」ノートを手がける村上智子さんと入社20年、さまざまな文具を開発し続ける田中茂一さん。
村上智子さん
田中茂一さん
30年以上にわたる「Campus」ノートの歴史、4ヶ月で150万部を売った「東大ノート」のエピソード、コクヨきっての名物開発者(田中さん)が、新たな文具を開発するとき、大切にしていること‥‥。
みんなに好かれる「ものつくり」のひみつに迫れたかどうかは、わかりませんが、いろいろと、素朴な質問をぶつけてきました。
そのようす、次回からくわしくお伝えしていきます。
どうぞ、おたのしみにー。
<つづきます>
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