[中島]
なかなかちょっと、すったもんだですよね。
[糸井]
ちょっと血を見ますよね。
でも、お父さん、よくわかんなくなっちゃってるから。
[中島]
いいですね。歳くうのってその辺が味わいがあって素敵なもんですね。
[糸井]
死に対しての道のりの、後半の、ちょっとあやしくなってる部分って、その素敵さがありますよね。
[中島]
なんかいいですね。
[糸井]
いいんですよー。
でもそれを、いいですねってわかる若い人はそんなにいないと思いますけど(笑)。
[中島]
えー、落語とか、小唄、端唄とか、あっちの感じですね。もうね。
[糸井]
そういうのって、やっぱりいいですよね。
[中島]
いいですね。
[糸井]
さっき言った、その、なんて言うか、人造宝石のおもしろさとか、ルージュみたいなものの魅力って、端唄とかそういうものかもしんないですね。
[中島]
かもしれませんね。
だから古くからある普遍的なものなんでしょうね。
[糸井]
みゆきさん、もともとそういうのお好きなんですか?
[中島]
うーん。好きというよりも、すごいなあと思いますね。かなわんなーって。
[糸井]
はあはあ。
[中島]
練り上げられたものだもの。
[糸井]
そうだよねー。
壊されても平気っていうところまで解体しちゃってる“本当さ”ですよね。
[中島]
ですね。
[糸井]
もうこれ以上、ネジ回しじゃあ壊れないよってとこまでいっちゃってますものね。
[中島]
ね。
[糸井]
憧れるねー。
[中島]
すごいと思う。
[糸井]
でも、中島みゆきはそこまで来てると思うなあ。
[中島]
いやははははー。全然!
[糸井]
ご自分ではまだまだだと?
[中島]
てんで青いっすよ!
[糸井]
そうすかねー。
部分でとったら結構残ってると思うよ。
[中島]
部分ね。
[糸井]
小唄、端唄だってそんなもんじゃないですか(笑)。
[中島]
あはは。確かにね、どっかだけ残ったりしてますからね。
あのちょっとの爪弾きがいいんですよね。
全部は言わなくて、ここしか知らないやっつうのが。
[糸井]
鍛え抜かれてきたものなんですよ。
もう壊れようのない、ね。
[中島]
そうなんでしょうねぇ。
[糸井]
そうか、もう壊れようのないものを、やっぱりぼくたちは欲しいんですね。
これ以上もう誰にも壊せないっていう。
温度もそうじゃない?
温度には、生き物の身も蓋もなさ、っていうのがあって。
[中島]
あははは、身も蓋もなさ、ね!
うん、確かにね。
隠しようがないですものね。
[糸井]
この辺の話をしたことって、今まで誰ともなかった。
[中島]
そうですか?
[糸井]
どんどん小さいほうに向かって行くじゃないですか。
[中島]
あははは! 確かにね。
(つづきます!)
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