[糸井]
きついこと言いますねえ!

[中島]
ねー。
「寝そべってみて、中島」
って軽く言うんですよ。
そしたら歌う方の中島さんがやってみて、
「寝そべって歌ってみろよ、おーい!」
って言うんですよね。ぶはははは。うーん。

[糸井]
はあー、厳しいことしてますねえ。

[中島]
結構後悔するんですけどね。

[糸井]
それは、サドですかマゾですかって訊きたくなるね。
どっちも自分だもんね。

[中島]
どっちもねえ。
でもね、技術不足っていうのもあるんだなあ、ってしみじみわかったことがあって。
なんのときだったかな、セリフがなかなか覚えられん! っていうんで、倉本聰さんにこぼしたことがあるんです。
何か覚える技術があるんですか? って。
そしたらね、
「ちょっと見せてみな、 ‥‥バカだねえ、 こんな覚えづらい本書いちゃって」
って言われたんです。

[糸井]
はぁー!

[中島]
「覚えやすい台本ってあるんですか〜〜!!」
ってね。目からウロコがぼーろぼろ。

[糸井]
なるほどねえ。

[中島]
脚本家さんは愛情を持って覚えやすく書いてあげるということができるんだ!
わたしにはその技術がないんだ! と。

[糸井]
それは、出身地が違うからじゃないですか。
つまり、‥‥同じ北海道っていう意味では出身地は一緒かもしれないですけれども。

[中島]
あははは。

[糸井]
倉本聰さんはテレビからの人ですから、映像を想定してますよね?

[中島]
してますね。

[糸井]
みゆきさんは歌う人ですから、映像を想定してなくても作れますよね。

[中島]
してなかったですね。

[糸井]
非常に観念的なことを歌ってますもんね(笑)。

[中島]
そうなんです。
なのに、ついでに動いたら、ってとこにいくんで(笑)。

[糸井]
だって、“時代は巡る”って絵はないですよ(笑)。

[中島]
あははは。どういう動きすりゃいいですかねえ。

[糸井]
覚えにくい台本になるに決まってますよね。
それは観念的なことですから。

[中島]
はいはいはいはい。

[糸井]
つまり、なんて言うんだろう、言葉の遊びじゃないんだけども、微妙に細い道をたどっていきたい、っていう日もありますよね、観念って。
この路地まで一緒に来てって言うときには、同じ言葉の繰り返しもあるし、助詞をひとつ変えただけの場合もあるし。
そういうのお好きですよね。

[中島]
でも、ややこしいことはなるべくしないでおこうと最近反省してるんですよ。
自分で歌うとき苦労しますから。
と、言いながらやっちゃうんですけどね。

(つづきます!)

文/藤井徹貫+ダ・ヴィンチ編集部+ほぼ日刊イトイ新聞

協力/株式会社ヤマハミュージックアーティスト


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