そこに人間が働いている(6月8日)

・「ほぼ日」にも何度も登場してもらっている「森川くん」こと森川幸人さんは、もともと持っている理科系の興味と、ゲームづくりで鍛えた表現力をつかって、このところ「わかりやすい科学アプリ」をつくってます。つい先日「ダ・ヴィンチ電子書籍アワード」とかも受賞したというニュースがありました。

その森川くんが、あらためて無料アプリをつくった、と。お知らせがあったのですが、それが、『原発って、なに?』というタイトル。内容は基礎的なことにしぼっています。原発を、「得体の知れない悪いもの」として、なんだか恐ろしいという気持ちでいるよりは、まず、こういうものなのかということを知って、そこから考えはじめたほうが、いいと思いました。もともと、このくらいの基礎的なことを、ぼくらは習ってなかったですから。

・ちょうど、同じような時期に、中川恵一さんという放射線の研究をしている方の『放射線のひみつ』(朝日出版社)という本がでてます。『海馬』のなどでもおなじみの寄藤文平さんのイラストレーションもあって、こちらもとても落ち着いてて、読みやすいものです。

・原発関係のことは、かなり複雑な歴史もあるのですが、そのあたりのことは武田徹さんが書いた『私たちはこうして「原発大国」を選んだ』に、深い悩みとともにクールに描かれています。最初に出版されたときに読んでなかったのが、いまさらもうしわけないような気がしています。

・原発に関わる問題は、人のこころも変にするようで、「不信」をもとにした争いが盛り上がったりします。ぼくは現場で苦難に満ちた仕事をしている人に、まずは感謝と応援をしたいと思う者です。とにかく、いまも「そこに人間が働いている」という現在の事実を大事にしたい。そのうえで、もう「脱原発」しかなさそうだと思う人間です。ぼくのリーダーはぼくでしかないので、これで行きます。

今日も「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。14年目に入った「ほぼ日」、じぶんたちもたのしみです。 
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