いい本(4月28日)

・なにを考えたらいいのか、なにを思えばいいのか、ずっとたしかな答えを見つけられないままに、それぞれの時間が過ぎています。他の人のダメさを見つけるのは、かんたんです。どこもかしこも、あらゆることがダメでしょう、きっと。だってねぇ、どかーんと大きな穴が空いたんですから。でもね、周囲をきょろきょろして、あちこちのダメさを探していても、なんにもはじまらないですからね。「祈る・働く・休む」のリズムで、じぶんを活かせる日常を取り戻していきたいものです。
 
・いま、いい時期に、いい本が出ました。『災害がほんとうに襲った時 〜阪神淡路大震災50日の記録』(みすず書房)です。最相葉月さんが、今回の東日本大震災が起った直後に、1995年の震災について書かれたこの本のことを思い出したのがきっかけです。

自らも被災者として神戸にいた精神科医の中井久夫さんが、そこで、なにを見、なにをし、なにを考えたかという記録です。あらゆるものごとがそうであるように、震災も未知の生き物のようです。そのまさしく生きている震災、つまり、生きている人間たちと、生きている時間を記録した本は、2011年のいま、あらゆる意味での指針になりそうです。

ぼくらが、迷ったり行き詰まったりしながら、はじめて考えるような問題でも、先に現実にぶつかって考えた人がいる。そのことがわかるだけでも、読む価値があります。くじ引きをするように一部、抜き書きしてみましょう。

「黄色を主体とするチューリップなどの花は 十九箇所の一般科ナースステーション前に 洩れなくくばられ、患者にもナースにも好評であった。 暖房のない病棟を物理的にあたためることは 誰にもできない相談である。 花は心理的にあたためる工夫の一つであった。」

今日も「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。わたくし順調に体重を減らしてお医者様にほめられました。
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