長丁場(3月29日)

・「想像以上の長丁場になると思います」と聞いて、どれくらいをイメージすればいいのか、正直言って、ぼくにはわかりませんでした。吉本隆明さんが、今回の大きな災害について語ったときのことです。吉本さんが何年とか何ヶ月というような数字を想定して言ってるわけじゃないのはわかるけど、段取りが踏めない戦いなんだなぁと思いました。

ひとつずつステップを踏んで、ここを直したら、ここに動いて、こうしてああして、というようなことじゃないのでしょう。それは、材料なり、アイディアなりが、どこかに「存在する」場合のやり方なんですよね。あるものを探す、ことで、これまでの日本の仕事は成り立ってきたんです。真夏に「みかんが食べたい」と言われたら、冷凍で貯蔵してあるところに探しに行く。日本になければ外国まで探す。そういうやり方を、懸命に追求すればよかったんです。

でも、おそらく、今度ばかりは、「探す」んじゃなくて、最初から「つくる」というすごく遠回りの道しかないことばかりでしょう。自動車部品から、土の入れ替えから、原発の解決から、組織や政治のあり方、抜本的な災害対策‥‥。ぜんぶ、「探しに行って買ってきた」なんてことではすまなさそうです。
 それほどひどいことになっている、と、ぼくらは覚悟していく必要があるでしょう。比較するのはおかしいかもしれませんが、太平洋戦争が約4年です。ぼくは、それ以上の時間を想像します。うれしいことじゃないけれど、その長丁場、しぶとく生きてみてやろうと思います。ひとつひとつの大変なことに、心を動かしすぎるより、いま引き受けさせられている新しい日常を、これまで以上に、いいものにしていくために、長い時間を覚悟して歩いていきたいと思います‥‥ちょっと二枚目過ぎる言い方で、お恥ずかしい。

今日も「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。この長丁場の結果を見なきゃ、死ぬに死ねねぇぜ、ってね。
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