[金井]
それも「公私混同」ということですね。
[糸井]
そうなんです。
そのときに「あいつ映画なんか行って」なんて説得力のない場合は、ダメ。
「映画に行ってるよ」と言われて、
「あ、そう」って、ふつうに言われるやつならそれだけのことをしているということだし、映画に行くということにたいしてもある意味、自信をもって行けるわけです。
[金井]
以前、楽器メーカーのヤマハに和智正忠さんという常務がいらしたんですね。
音楽に触れること、とくにリズムを刻むことが人間の健康にプラスになる、という研究をしているお医者さんから連絡をうけて、アメリカまで会いに行った人なんですが、結局、ヤマハを辞めて学生に戻ったんです。
[糸井]
ほう‥‥。
[金井]
で、その連絡をくれたお医者さんといっしょに論文を書き、それがアメリカの雑誌に載って、博士号まで取った。
つまり、自分の会社の作ってる商品が世のなかの役に立ってるということを示したんですよね。会社を辞めてまでして。
「仕事」を「遊び」のように楽しめる人でないとできないことが開発の世界やものづくりの世界にはあって、そういうのにふれると、本当に感動するんですよ。
[糸井]
ああ‥‥仕事のために、仕事を辞めた、と。
生きかたとしての「公私混同」ですね。
[金井]
ええ、本当にすごいと思いました。
その生きかたに、共感します。
それに当たるものが、自分の場合には何だろうか。
そう、考えてほしいですね。
[糸井]
プロの麻雀打ちというのは徹夜で麻雀を打っているわけで、それは大変なことなのかもしれないですけど、でも、その前に、きっと「楽しみ」がある。
そういった意味でも、しっかりと「遊び」と「仕事」が混じりあうことが大事じゃないかな、と思います。
[金井]
マイケル・ジョーダンがシュートを打ったら「仕事」で、ギターを弾けば「遊び」。
逆に、エリック・クラプトンがギターを弾けば「仕事」で、バスケをしたら、「遊び」になる。
「仕事」と「遊び」の境界線なんて、
「気の持ちよう」みたいなもんですよね。
<続きます>
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