[糸井]
いつだって、うれしいですよね。
とくに仕事にまつわることは、感情的な「うれしい」っていうことだけじゃなく、骨の太い喜びというか、パワーをもらえる。

[岩田]
おそらくそれは、自分がはたらく理由や、もっというと自分が存在する理由の確認につながっていると思うんです。
そういったものがなければ、エネルギーって、どんなに強くても次第に放電してなくなってしまう。
でも、お客さんの笑顔とか、仲間からの「ありがとう」をもらうことで、エネルギーってまた溜まっていくんです。
だから、任天堂の仕事でいうと、
「お客さんがニコニコしてくれる」ということで私たちは元気をもらえるわけなんです。



[糸井]
そういうことがしみじみ味わえるのは、仕事をしているからだよね。
やっぱり、本当の「ありがとう」って、若いときはそんなに言われないと思うんです。
少なくともぼくは仕事をしてからのほうが圧倒的に言われている。

[岩田]
もちろん学生時代にもサークルやクラブの活動とかでそういう経験をしている人はいるとは思いますが、規模の大きさや経験の濃密さがまったく違いますからね。

[糸井]
必死で「ありがとう」と言う人と会えるんだよね。
もう、魂の叫びみたいに
「ありがとう」と言ったり、言われたりする。

[岩田]
はい。だから、本気で怒る人にも、本気で喜ぶ人にも出会えるのが、はたらくことのおもしろさじゃないですかね。

[糸井]
こういう話を聞いて、若い人が少しでもワクワクして、『はたらきたい。』と思ってくれるといいな。

[岩田]
そうですね。



(岩田さんとの話は、これで終了です。
 お読みいただき、どうもありがとうございました)


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