そこに踏み込んでしまうとその人を壊してしまうんじゃないかとまわりの人たちが気を遣ってしまうというか‥‥。
ああ、だから、やっぱり、
「あなたが大切にしてきたことはなんですか?」
という話に通じることかもしれません。



[糸井]
そうですね、そうですね。

[岩田]
その人の大切なものがなにかわかってれば安心して「バカもん!」って言えますけど、大切なものがなんだかわからない人には、怒ったらその人の大切なものを意図せず踏みにじってしまうかもしれないという恐怖がありますからね。

[糸井]
そういう人は、自然に機会を失っていっちゃうんですよね。
それはもう、その人の才能とか優秀さとはまったく別の次元の話で。

[岩田]
ええ。

[糸井]
だって、技術や才能がなくても、そこにいて、なにかに立ち会って、
「すげー!」って拍手するだけで、仕事って磨かれていきますからね。
なにかに拍手をする人間になることって自分の仕事をやりとげることに重なるんです。
それはもう、「オレにはできないな」ってわかるだけでもいい。
岩田さんのよく言う「当事者意識」を持ちながらなにかに真剣に接するだけでいいんですよ。
「バカもん!」って言われやすい子は、
「すげー!」って拍手することでどんどん磨かれていくんですよ。

[岩田]
そのとおりですね。

[糸井]
具体的には、どうすればいいのかなぁ。
やっぱり笑ってる分量だと思うんですよね。
また「こころ」の問題になっちゃうんだけど、表情としてよりも、「こころが笑顔」の人。
組織とか会社って、性質上、どうしても
「こころ」をないものとしてしまうんだけど、あるに決まってるじゃないですか。
人ってやっぱり「こころ」が見える人と仕事をしたいんですよ。

[岩田]
わかりやすくいうと、
「本当にやりたそうにしてる人」に仕事は渡したいんですよね。

[糸井]
ああ、それです!
社長は明言しました(笑)!
いや、そうです、本当に。



[岩田]
なるべくならね、人間ですからね、イヤそうにしている人に渡したい人なんかいないんですよ。

[糸井]
だからこそ、「こころ」を見せてくれている人、
「バカもん!」って平気で怒れる人に仕事や機会は集まるんですよね。
これは、どんなデキの悪い子にもコツとして教えてあげたいね。
楽になる、その人だけじゃなくて、みんなが。

[岩田]
はい。
(続きます)


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