その日は雨だったせいか、25メートルの温水プールは当時10歳の私と、もう少し下の見知らぬ男の子だけの貸切状態。 広いプールに私達だけという状態に私はテンションがあがってしまい、浮き輪をつけておぼつかなく泳いでる男の子に 「いっちょ、泳ぎでも教えてあげますか」 と得意げに呼び掛け、出た言葉が 「ここ浅いから、ここなら大丈夫だから、 水着とって泳いでごらん」。 あきらかに怯えた目をむける男の子。 「怖くない怖くない、ほら大丈夫だから」 私は自分が、「浮き輪」と「水着」を言いまつがえてることに気付かずに (正確には夜思い返すまで気付かずに) 得意げにしつこく水着をとって泳げと、逃げていく男の子に言っていたのでした‥‥。
(そら怖いよね)
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