そうなんですよ。
横だと2列にすると、1行が短くなって、すごく窮屈になってしまって。

[糸井]
「見てみたい」って言ったときの心をちょっと思い出すと、インターネットじゃなく、したかったの。



[ばなな]
ああー。
それをそのまま本にしたみたいな感じじゃなくて。

[糸井]
うん。
昔からあった本みたいにしたかったって気持ちがある。
あと、タイトルを『LIFE』にするって言ったとき、みんなが「いいんじゃない!」って言ったんだよね。

[ほぼ日]
そうですね。
最初は、『かもめとめがねのごはん本』、って仮のタイトルで始めました。
でも、それは、飯島さんを知らせるにはいいけれど、映画に頼りすぎな感じがしていて。

[飯島]
でも、それじゃなくなって、うれしかったです。
私のことを紹介していただくときって、ずっとそういう感じだったんで、あえて糸井さんが、それを思いっきり出すのはあんまりかっこよくない、みたいな感じで言ってくださったときには、うれしかったんです。

[糸井]
一回、飯島さんと思いっきり話しちゃってかっこつけちゃった方が、中が本音でできるなと思ったんです。

[ばなな]
すごい。
なるほど、いろんな考えが。

[糸井]
あったんだね。

[ばなな]
あったんだね。

[糸井]
あと帯も、料理変えたんだよね。

[ほぼ日]
最初は生姜焼きとか、から揚げとかを前に持って行ったんですけど、
「おむすびじゃない?!」って、ほぼ同時に全員が言いだして。

[糸井]
あと帯の文章に、
「とても具体的な」って一言を最後に足したの。
楽しかったね。
このくらいになると、できたって喜びがあるからね。
取材や撮影、本をつくってるときは、もっと苦しいとは言わないけど、必死だったよね。



[ほぼ日]
最初の形を決めるのが一番大変でしたよね。
最初、話が盛りあがって、シチュエーションごとに出演者とロケ地を決めようとか。
「おとうさんの、ナポリタン。」なら、ほんとにお父さんにつくってもらう写真を撮ろうとか。
考えすぎちゃっていたんです、最初。

[ばなな]
ああー。

[ほぼ日]
それを戻してくれたのはご意見番として入ってくださった、文筆家の清野恵里子さん。
『樋口可南子きものまわり』を書いた方です。
その清野さんが、
「この企画は、シチュエーションを決めて料理をする、 ということだけちゃんと活かせばいいんだから、 よくばりすぎると後が大変だよ」って。

[糸井]
その通りだよね。

[ばなな]
ためになるなぁ。

[ほぼ日]
で、ああそっか、って、飯島さんのアトリエで取材も撮影も全部やろう、自分たちでやろうって、こうなったんですよね。

[飯島]
そうですね。

[糸井]
あと、単行本にするときに、1個ずつストーリをつくろうとか言ってたんだよ。
それはオレ書くよ! とか言って。
その仕事してみたかったの、ちょっと。
でも、それはちがうって途中でわかって。

[ばなな]
引き返せる力がすごいですね。



[糸井]
しょっちゅうだよ。
うちは、それ慣れてる。

[ばなな]
すばらしい会社だ。

[ほぼ日]
それはすごいと思ってないです。
引き返すのが当たり前の会社。

[糸井]
おれたち、引き返すっていうことのプロだね。

[ばなな]
うん。
なかなかできない。
一番できないこと。

[糸井]
オレの性格だ(笑)。
やったこと無駄にするの平気だよね。

[ほぼ日]
全然平気です。

[ばなな]
(みんなに)よかったですね、いい会社だ。

[糸井]
最初に、シチュエーションで料理をつくろうと言ったときのエッセンスは残してるから。
だって、説明抜きであのナポリタンをポンと出すと、
「麺ののびてるナポリタンを料理本に出す」
ことになるんだよ。やっぱり難しい。
でも「おとうさんの」っていうとOKになる。

[ばなな]
はい。

[糸井]
そういうことは、けっこうやってますよ。

[ばなな]
その方がいい。
そっかぁ!
あと、やっぱり、台所に持って入る本だから、あんまり字があると読んじゃったりする。
わかんなくなっちゃう。

[ほぼ日]
シロ(本の空白のこと)をコラムで埋めるというようなことも、やめましたもんね。
シロって、実用書をつくったことがある身には、気になるんです、実は。

[ばなな]
白いって印象はないけどね。

[ほぼ日]
それが、心配で心配で。
もうちょっと写真大きくして白いところ埋める? とか。
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