[糸井]
餅つきで言えば、相の手が激しかったんでしょうね。
校正の段階で、複数回見て、直してたし、飯島さんも、最後まで、分量やプロセスをまだ直してた。

[飯島]
すみません‥‥。

[ほぼ日]
いやいや、いいんです。

[糸井]
タイにロケに行っているときも、アシスタントの板井さんに電話して、東京で何度も作り直しをしながら確認をしていたんだよね。

[ほぼ日]
夜中に、校正をもらいに来ると、板井さんが国際電話をしながら、後ろでぐつぐつ、調理実験をしているんです。
これから校正をもらうはずの料理を、何度も、つくってるんです。

[糸井]
すごいだろう。

[飯島]
これは、もう一生の宝物になる本だから、絶対にまちがえないように確認しようと。



[糸井]
それをやったっていう経験はすごいよね。
それはいい仕事だなぁ。
うちの会社も、おもしろかったんですよ。
みんなで手分けして、このレシピ通りにつくってみるという校正をしたんです。

[ばなな]
うんうん。

[糸井]
普段料理しない人ばっかりじゃない?
ゆーないとさんまでもが、おはぎをつくったんだよね。
そしたら「うまかった」って言うから
「ほんとかよ」。
ま、信用してないわけですよ、つくり手のゆーないとさんを、ぼくが。
しかも、週末だったかなんかで、翌々日に持ってきて、オレに食べさせようとした。

[ばなな]
はははは。

[糸井]
「それはいらない!」って、自分でもレシピ通りにつくってみたの。
「あ、これならあいつでもできる」
って思いました。
おはぎ、びっくりした。
「なんでこんなに簡単なの」
って思った。

[ばなな]
うんうんうん。
しかもおいしくできるっていう。
ナポリタンを、いったん麺をのばす、っていうのもすごいですよね。

[糸井]
あれ、すごいよね。

[ばなな]
こんなこと書いてある本、たぶんこの世にないと思う。

[糸井]
「そのおいしさってあるんだよ」
って、飯島さんは知ってるんだよね。
世の中がアルデンテの話をしているときに、
「のばす」だもの。



[ばなな]
あとマッシュルームは缶で、って。
なかなかできることじゃない。
やっぱり、なんかちがうんですよね。
飯島さんって不思議なかただと思いますよ。
そこに、編集の手が重なったことでいい本になったんだと思う。

[糸井]
小説でこんな担当されることはないもんね。
最初に本をつくろうって思ったときの
「うわー、つくりたいね」
って思ったときの気分を磨き込んでいったんです。
動機を。
そんなことってあんまりないんですよ。
動機って減っていくもんなんですけど、この本は、動機を増やしていったんです。
(「男らしい」と言われてるの、 現場で飯島さん、聞いてないかも‥‥ どんなふうに思われるんでしょ。
 それにしても糸井重里は これだけ喋ってて、 よくあれだけ食べられるなぁ。
 つづきます!)


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