[ほぼ日]
憧れですか。
[タナカ]
そこを目指すべく、毎日、規則正しい生活をすることからやってるんですよ、ぼくは。
[ほぼ日]
最近はそうなんですね。
[タナカ]
そうなんです。
[ほぼ日]
夜更かしとかしない?
[タナカ]
結婚して子どもが生まれて自動的にそうなったんですけど、やはりいいもんだなあと思ってね。
[ほぼ日]
規則正しくて静かな生活が。
[タナカ]
そう。いいもんだなあと。
ほんで、そうやって生活してるといろいろわかることがあるんです。
[ほぼ日]
それは、どういう?
[タナカ]
昔はね、
「何か刺激的なことが起こんねえかなあ」
「今日もいろんな出会いがあって、 思いがけないことが起こんねえかなあ」
と思って出かけてたわけじゃないですか。
自分の知らないところに行ったりね。
とにかく新しいことをしたいと。
「繰り返しは悪だ」みたいな。
[ほぼ日]
刺激を求めて。
[タナカ]
青春てそうやと思うんですよ。
そやけど、年相応に、もう刺激は要らなくなってきたんですよね。
[ほぼ日]
刺激は要らない。
[タナカ]
「刺激? つまんねえなあ」って。
[ほぼ日]
(笑)
[タナカ]
ただね、周りが変化していく姿はすごくたのしいんですよ。
自分が毎日同じことをやってあちこち動かなくなると、周りがよく見えるようになるの。
[ほぼ日]
へえー。
[タナカ]
だから、定点観測。
定点観測できるようになったんです。
いつもと同じ時間に起きて、
「あ、今日は昨日より明るい」とか。
[ほぼ日]
ああー、はい。
[タナカ]
「あ、緑が色づいた」とかね。
[ほぼ日]
なるほど。
[タナカ]
自分が止まってるから、めっちゃ周りが動いてることがわかって。
そんで、
「この感じは樹だ」
と思ったんです。ええ。
[ほぼ日]
そうですかぁ。
いや、最初は、どんなおもしろいお話になるんだろうとうかがっていたんですが、どうやら、その、本気なようで。
[タナカ]
本気です。
樹になりたい。
樹に近寄っていきたいんです、ぼくは。
(つづきます)
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