だから、しつこく聞いたんですけどね。
[糸井]
ええ、なるほど。
[上田]
ま、その反面、翻訳ものってたいがい、つまんなくなっちゃうんですよ。
[糸井]
ああ、無難になっちゃうんだ。
[上田]
うん、無難どころか、何を言ってるかわかんなくなっちゃうことがある。
「Good Morning」を
「おはようございます」って訳せなくなるんです。
[糸井]
つまり‥‥「良い朝」?
[上田]
そう。
[糸井]
へぇー‥‥。
[上田]
いや、ほんとそうなんですよ。
だって
「どこまでが『おは』で どっからが『よう』なんだ?」って訊かれたら答えられないでしょう?
[糸井]
いやぁ、おもしろいですねぇ(笑)。
でもそうか‥‥なるほどなぁ、ドラッカーとの出会いは、たんなる偶然だった。
[上田]
そうです。
[糸井]
それじゃあ、ドラッカーの本の内容についてご自身と接点ができてきたのは、いつごろですか。
[上田]
ごく最近だと思います。
[糸井]
「最近」ですか。
[上田]
わたし、完全に「デカルトの子ども」だったの。
[糸井]
つまり‥‥。
[上田]
理屈なの。何もかも。
[糸井]
ようするに、ドラッカーの言ってることとご自分の訳とが矛盾なく、きっちり対応してるってことがいちばん大事だったんですね。
[上田]
だから最初は、ただ忠実に訳してただけ。
でもそれが、長いことやってくると、いつのまにか、ドラッカーの言ってることと、わたしの言ってることが同じになってきちゃったというような‥‥(笑)。
[糸井]
ドラッカーがウッカリしてるところ、埋めたりとかして(笑)。
[上田]
あ、それは、ありますよね。
[糸井]
ありますか!
[上田]
あります、あります。
[糸井]
ドラッカーなら、こう考えるよな‥‥みたいに?
[上田]
そうですね。ドラッカーも
「本の中身をいちばんわかってるのは翻訳者だ。
書いた本人よりも」って言ってるし。
そりゃそうだよね。ていねいに読んでんだから。
[糸井]
ははー‥‥。
<つづきます>
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