[糸井]
すべてを取り上げられてから、どういうふうに動いたんですか?

[佐伯]
自分のお給料は、自分で作り出していかなくてはならない。
何もかも自分でやっていかなくてはならない。
そこで思いついたのがデパートです。
デパートの売り子さんがいる場所には部屋があるんですよ。
会議室みたいなところです。

[糸井]
なるほど。

[佐伯]
カウンターに立つスタッフにそこにお客さんを10人集めるように頼みました。
会社でわたしが使ってた折りたたみ椅子とスチーマーなどの道具を全部送って、1日10人のお客さまをお迎えすることにしました。
1時間こっちやって寝かしておいて、そのあいだにあっちやって‥‥

[糸井]
(笑)ひとりきりですもんね。

[佐伯]
この方法で、実はかなりの売り上げをキープすることができたんです。

[糸井]
それは、自分の給料を出せば、という話じゃなくなってきますね。

[佐伯]
売り上げが確実のものになった頃から、会社側の要求が入りました。
次はここ行ってください、あっち行ってください、と指定されるわけです。
そんなことで、定年前は、すんごい忙しかったんです。

[一同]
(笑)

[佐伯]
だから、会社員としての最後の花は、たっぷり咲きましたよ(笑)。
(つづきます)


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