たまねぎアメと 森繁パンダ。 〜黒柳徹子さんのお話〜

第9回 なんでございましょうね。
黒柳 今日、こんなに
動物の話ばっかりしてもナンなので。
糸井 いや、ぜんぜん大丈夫です(笑)。
黒柳 じゃあ、いま着ている
洋服の話をしますね。
これはアルパカです。
うしろもきれいでしょ。
糸井 アルパカってこんななんですか!
これは日本の服ですか。
黒柳 いいえ、ペルーです。
我ながらすごいなと思ったんですが──
ずいぶん前のこと、日本橋の
三越デパートの中を通ったんです。
つまり、三越劇場に出演するためにね。
糸井 はい。
黒柳 ちょっと時間に遅れていたので、
ビューッと走っていったんですけど、
この服が1階の売り場に飾ってありました。
そのまま6階の劇場に行って、仕事して、
違う出口から出て、うちへ帰りました。
寝る前になって
「なんだか今日、目のはしっこのところに、
 すっごくきれいなものがあった気がする」
観客 (笑)
黒柳 「あれはいったいなんだったんだろう」
糸井 うわぁ。
黒柳 次の日、三越デパートに電話しましてね。
糸井 はい、はい(笑)。
黒柳 「昨日、1階の手袋売場か
 えりまき売場のところに
 すっごくきれいなものがあったんですけど、
 あれはなんですか」
と訊いたら、デパートの方、
「なんでございましょうね」
って。
観客 (笑)
黒柳 そんな訊かれ方じゃ、わからないわよね。
でも、デパートはすごいです。
とうとう追跡して、
この服を扱うペルーの会社の
電話番号を教えてくれたの。
糸井 うん、うん。
黒柳 そこへ電話して、お支払いして、
送っていただきました。
アルパカって、ふつうは
こういうイメージじゃないでしょ?
糸井 茶やオフホワイトの
カウチンみたいなものはよくありますが‥‥
まぁ、そんな色のアルパカが
いるわけじゃないけど(笑)。
黒柳 ‥‥フッ(笑)、こんなアルパカがいたらね、
捕まっちゃいますよ、すぐ。
糸井 そうですよね。
黒柳 こんな格好して、
タッタッタッタッ歩いてたら。
糸井 色で捕まりますね。
昔の歌舞伎のスターが着てても
おかしくない存在感ですよ。
着るにはやっぱりひとつの思いきりが要りますね。
なんというか‥‥緞帳つきの劇場みたいな。
黒柳 ‥‥フッ(笑)、そうです、そうです、
ほとんどそうです。
これは、緞帳ですね。
糸井 「IBM寄贈」
黒柳 ふふふ、そうそう。
だけど、いつもこんなの
着てるわけじゃないんですよ。
糸井 黒柳さん、帽子もおもしろいですね。
どこまでが帽子で
どこまでが毛なんだか。
黒柳 これは自分の毛を編んで
入れてるんです。
糸井 黒柳さんって、いつも、
どこまでがどういうふうに
人の毛なんだか、自分の毛なんだか、
わからないんですが。
黒柳 上手ですからね(笑)。
糸井 ふだんはきっと
ロングヘアだということですよね。
黒柳 「たまねぎ」頭は
ロングヘアじゃないとできません。
ちがうスタイルにするときには
中に全部折り込んで、しまっちゃいます。
そして、かつらをかぶります。
糸井 ‥‥ということは、
「たまねぎ」のときは自毛なんですか。
黒柳 あれもかつらだと思ってらっしゃる方が
いらっしゃいますけど、
かつらだと、襟足のところなんか、
ああはうまくいきません。
糸井 じゃあ「たまねぎ」じゃないときのほうが、
かつら。
黒柳 そうです。
「たまねぎ」じゃないときのほうが、
かつらのことが多いです。
そのほうが、すぐに仕事に入れるので。
糸井 はぁああ。
あの、おうちにいらっしゃるときは‥‥
黒柳 そりゃあ、もう、
すごいですよ。
観客 (笑)
黒柳 髪の毛を頭の真ん中でまとめて
ゴムでグルグルグルグルと。
糸井 「まげ」みたいにするんですか。
黒柳 まぁ、動物の、
それこそたてがみみたいになりますから、
それを折り曲げて、
ダブルピンで留めてます。
糸井 「たまねぎ」というより、
ソフトクリームに近いんですね。
黒柳 あ、うまいうまい!
そうよ、ソフトクリーム。
あなた、上手ねぇ。
観客 (笑)
黒柳 ご商売とは言いながらねぇ。
うちにいるときの頭は、そうよ、
ソフトクリームです。
黒柳さんのソフトクリームヘア、 マネしたくなっちゃうね。快適そう。 次回はたまねぎからアメが出る話。つづく!
2010-04-02-FRI
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