クマちゃんからの便り

またやっちまっただ

桜も盛りが過ぎた春爛漫の今頃になって、
イワシの群れが入ったと船長からの電話。
南下するイワシにつかず離れずしながら
大きく逞しくなる<渡りビラメ>だ。
今期初めてで最後になるヒラメ釣りである。

大原・太東沖はクソ寒く渋くウネっていた。
何投目かに、1.3kgを
釣り上げたもののこんなものじゃない。
ウネリはますます大きくなってきた。
生き餌の小さなセグロイワシを着ける手もかじかむ。
遠くに不気味な竜巻が一本。
やっぱし陸も海もオカシナ気象なんだな。
手持ちのロッドで、水深12メートルの海底を
根がかり覚悟で攻めていた。
真冬の海だわい。

ガッガッガッ、
突然ついにロッドが大きく引き込まれた。
流れ者・ヒラメに違いない。
一気に合わせた。エラを拡げ太い尾ひれと
エンガワで激しく海を掻き混ぜるヒラメが
「なにしやがるか」とばかりに暴れだす。
「浅いから暴れるからね。バラさないように」
激しいロッドの動きに飛び出してきた船長が
デッカいタモを構えた。
「どこからでもかかって来なさい」
戦闘体制でリールを巻きはじめる。
バタバタとロッドの先がますます騒ぎ出す。
昨夜作った仕掛は万全なはずだが油断ならない。

うねる海面にぽっかりと灰色のヒラメが現われた。
最後まで暴れる大ビラメがタモに納まった。
オレの拳がスッポリ納まりそうな口のイイ位置に、
親バリも孫バリも掛かっていた。
5kgの分厚い肉付きの流れ者は
上目使いでオレを脅しながら、
長がーいエンガワで甲板をバタバタと激しく叩く。

船長は「港まで生かしていこう」
ヒラメの口の両脇にタグのクリップを止め、
生餌の甕に放り込んだ。
「こうしておかないと、イワシを喰っちまうんだ」

クマさんへの激励や感想などを、
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2007-04-13-FRI
KUMA
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