KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の九百参拾七・・・生還

おいしーつくつく おいしーつくつく

北小岩 「アブラゼミさんや
 ミンミンゼミさんの季節が終わり、
 すっかりつくつくぼうしさんの
 歌声となりました。
 しかし、このあたりの
 つくつくぼうしさんは、
 鳴き方が変ではございませんか」
小林 「あそこを見てみい」
北小岩 「あっ!
 つくつくぼうしさんが
 女性の秘所にとまっております!」
小林 「ここだけにいる
 『アソコにつくつくぼうし』
 と呼ばれる変態種や。
 20秒ほどでイッてしまうんや」

先生の町の変態種などどうでもいいので、
話を先に進めよう。

北小岩 「今からお会いする方は
 どんな体験をされたのでしょうか」
小林 「死の淵から蘇った英雄や」
北小岩 「そうなのでございますか!」
小林 「そや。
 死は地球上の人類すべてに
 起こることや。
 死を回避する重要なヒントが
 もらえるかもしれんな」
北小岩 「凄いでございます!」

人類にとっての福音となるのだろうか。
奇跡の男を訪ねた師弟は。

小林 「君が死の淵から蘇った男やな」
死の淵
から蘇
った男
「そうです」
小林 「どういうことなんか、
 ぱっくり聞かせてもらおうやないか」
死の淵
から蘇
った男
「二週間ほど前、
 町の公園を散歩している時に
 犬の糞を踏み抜き
 後ろに転んでしまったのです。
 そこに石で作られた
 男のシンボルがたっており、
 後頭部を強く打って
 危篤になってしまいました」
北小岩 「大変でございます!
 どうなりましたか」
死の淵
から蘇
った男
「目の前に太い川があり、
 向こう岸に
 亡くなった父と母が立っていて。
 僕が川を渡ろうとして近づくと、
 父と母がうなずきあったのです」
北小岩 「えっ?」
死の淵
から蘇
った男
「父がハンマーを投げてきました。
 父は若い頃ハンマー投げの選手で。
 とてつもない勢いで飛んできて
 顔にぶつかりました」
北小岩 「危険ではないですか!」
死の淵
から蘇
った男
「それが
 砲丸の部分が丸くてでっかい
 糞だったんです。
 顔にぐしゃっとつきました」
北小岩 「なんと!」

死の淵
から蘇
った男
「それならばと
 母のもとにいこうとして
 川に入ろうとしたら、
 今度はやりが飛んできたのです。
 母は若い頃やり投げの選手でした」
北小岩 「それもまた危険です!」
死の淵
から蘇
った男
「顔に当たると危ないから
 後ろを向いたら、
 ケツの穴に刺さって。
 やりの先には糞がついていました」
北小岩 「なんでそんなひどいことを
 なさるのでしょうか」
小林 「心をやわらかくして考えてみい」

北小岩 「あっ!
 お父様とお母様は
 あなた様が川を渡って
 あちらの世界にいかないように」
死の淵
から蘇
った男
「そうなのです。
 それで僕は川を渡るのをあきらめて、
 とぼとぼ歩いていたら
 意識が戻って・・・(涙)」

愛する息子が川を渡れないように糞を投げる。
諸手を挙げて美しいとは
言い切れない気もするが、
それでも美しい両親の愛情であることは
確かであろう。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2022-09-18-SUN

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