KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の九百八・・・遠くへ

チリンチリン

北小岩 「郵便屋さんがまいりました」
郵便屋
さん
「先生と北小岩さんに
 一通ずつです」
北小岩 「ありがとうございます!
 なんでございましょうか」

びりびりびり

北小岩 「え〜と。
 むっ!
 すぐに先生に
 知らせなければなりません。
 今頃書斎でえげつないエロ本を
 読んでいることでしょう」
小林 「なんやお前。
 でかい声で
 人聞きの悪いことを言うんやない」
北小岩 「申し訳ございません。
 わたくしに
 封書が届いたのですが、
 先生の封書も
 類似の内容かと思われます」

びりびりびり

小林 「なになに?
 むっ!
 今年の隣町との
 『屁飛ばし対抗戦』の先鋒が
 俺やと!
 お前はなんや」
北小岩 「わたくしは次鋒でございます」
小林 「対抗戦には町の威信がかかっとる」
北小岩 「今から三カ月後です。
 山に籠って修行いたしましょう」

二人はさっそく裏山に籠った。

北小岩 「隣町には
 おならを遠くへ飛ばす
 猛者が大勢おりますね」
小林 「そやな。
 俺たちも屁で
 野鳥を打ち落とせるぐらいに
 しとかんとな」

先生は褌を外すと尻を空に向けた。

小林 「ポイントは四十五度や。
 その角度で屁を放てば鳥は」

ぷ〜〜〜

小林 「どや?」
北小岩 「何事もなかったかのように
 飛んでおります」
小林 「そうか・・・」

師弟はその後、
毎日屁を遠くまで飛ばす修行に明け暮れ
決戦の日を迎えた。

屁飛ばし対抗戦とは、
町の境界線で後ろ向きに立って尻を突き出し、
隣町に向かってどれだけ遠くまで
屁をかませられるかで勝敗を決めるのである。

剣道などでは
先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の順に
勝負することがあるが、
屁飛ばしの場合は
先屁、次屁、中屁、副屁、大屁の
名のもとに戦う。
先に3敗すると敗けなので、先生の先屁、
北小岩くんの次屁ともに重要である。

どこまで屁が届いたかは、
中立の町に住む『鼻神兄弟』と呼ばれる
二人の男がジャッジする。
氏らは500メートル離れた場所にある
犬の糞がどういう状態のものかがわかるほどの
驚異的な鼻力を持っている。
今大会では境界線から30メートル先に座り、
屁が何メートル飛んだかを判断するのだ。

鼻神
兄弟A
「ではこれより
 第69回屁飛ばし対抗戦を
 開催します。
 先屁の2選手は位置について
 放屁体勢に入ってください」

鼻神
兄弟B
「よ〜い、屁イ!」

ぷ〜〜〜〜〜!

先生が歯を食いしばり、
もとい、肛門を食いしばり屁を飛ばした。

鼻神
兄弟A
「屁距離45センチ!」

隣町はどうであろう。

鼻神
兄弟B
「屁距離2メートル!」
小林 「ああ・・・」

各選手2回放屁のチャンスが与えられる。

小林 「寒さで肛門が
 かじかんでしまったわ。
 次はそんなこと言っとられん!!」
鼻神
兄弟B
「よ〜い、屁イ! 屁イ!!」
小林 「ためをつくってGO!」

ブリッ

小林 「しまった!」
鼻神
兄弟A
「こちらの先屁、
 実まで出しました!
 よって失格。
 罰として『液化天然屁』注入!!」

先生のケツの穴にホースが装着された。

どくどくどく

小林 「うお〜〜〜!」

液化天然屁とは
凄まじく臭い屁を大量に集めて、
−162度まで冷却し
液化したという恐るべきものである。
肛門で気化したら
先生はどうなってしまうのか。
結論から言えば、どうなっても構わないでしょう。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2022-02-27-SUN

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