KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の八百七拾八・・・ゾーン

コロコロ

北小岩 「あれ?
 フンコロガシさんでございます」
小林 「誰の糞球かわからん。
 注意せにゃあかんで」
北小岩 「あっ、先生。
 そうでございますね。
 え〜と」

じ〜っ

北小岩 「糞球にこ汚い字で
 『長老』と書かれております」
小林 「げげっ。
 長老の糞か。
 こ汚いのではなく単に汚いやろ」
北小岩 「また召集でございますか」
小林 「長老は暑くなると興奮し、
 しょうもないことばかり
 言いだすからな」

二人はギラギラ太陽が照りつける中、
イヤイヤ町はずれの祠にむかった。

北小岩 「前回も長老は
 エロ本片手に怪しげなことを
 しておりましたが、
 今回もでしょうか」
小林 「今回は前回より
 気温が5度高い。
 まさか」
長老 「おお、お前らか。
 よく来たな」

長老は左手にエロ本を2冊持ち、
右手を褌の中でもそもそ動かしていた。

北小岩 「どのようなご用でございますか」
長老 「町にあるすべてのゾーンを
 かえた方がいいんじゃないかと
 思ってな。
 これを町長に渡してくれ」

その内容は褌に書かれていた。
褌をはずし北小岩くんに手渡すと、
しなびたブツが風に踊った。

それから数週間後、先生の町のゾーンは?
まずは草野球から見てみよう。

アンパ
イア
「ボール!」
投手 「どう見ても
 ストライクゾーンに
 入ってるだろ!」
アンパ
イア
「長老からの通達で
 ストライクゾーンは
 なくなったんだよ」
投手 「えっ?」
アンパ
イア
「今日から
 ストライクゾーンのかわりに、
 デリケートゾーンが
 導入されたんだよ」
投手 「なんだよ、それ?」
アンパ
イア
「ホームベース上の空間に
 Yの字があると想定し、
 その真ん中周辺がストライク。
 特別にワンバウンドで
 下から突き上げる軌道も
 ストライク。
 それ以外はボールだよ」

投手 「・・・」

ダダダダッ バッ

北小岩 「あちらでは
 リレーの練習を
 していらっしゃいます」
陸上部
コーチ
「そこでバトンタッチしては
 ダメだ!」
陸上
リレー
選手
「どういうことですか」
陸上部
コーチ
「長老から通達があって、
 バトンゾーン
 (テイクオーバーゾーン)が
 デリケートゾーンになったんだよ」
陸上
リレー
選手
「えっ?」
陸上部
コーチ
「レーンの中に
 Yの字があるだろ。
 その真ん中の所でしか
 バトンを渡せないんだよ」

再び練習が始まった。

ポトン

陸上
リレー
選手
「しまった!
 バトンを落とした。
 叱られる!」

パチパチパチ

コーチが拍手している。
落としたバトンが局所のあたりに
立ったのである。
その時には指導者は
拍手しなければならないらしい。

長老もこの暑さの中
そんなくだらないことばかり
考えているのなら、
静かに昼寝でもしていてほしいものである。
 

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2021-08-01-SUN

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